卵巣癌肉腫・乳癌による重複癌の一例

悪性卵巣腫瘍の中でもまれな卵巣癌肉腫に乳癌が併発した重複癌症例を経験したので報告する. 症例は下腹痛のために近医内科受診し, 下腹部腫瘤の診断で当科紹介となった76歳の患者で, エコー, MRI所見および腫瘍マーカーCA19-9上昇から卵巣癌を強く疑った. また精査過程でのPET-CTで骨盤内腫瘤とともに左乳房腫瘤, 左腋窩リンパ節腫大および左胸膜腫瘤を指摘され左乳癌およびその転移の可能性を指摘され, 乳房生検の病理診は浸潤性乳管癌であった. 卵巣癌疑いおよび左乳癌の診断で子宮全摘術, 両側付属器摘出術, 大網切除術, および胸筋温存左乳房切除術, 腋窩リンパ節郭清術を施行した. 病理検査結果...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2017-12, Vol.66 (1), p.83-87
Hauptverfasser: 住浪義則, 平野恵美子, 木村徳宏, 藤田麻美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:悪性卵巣腫瘍の中でもまれな卵巣癌肉腫に乳癌が併発した重複癌症例を経験したので報告する. 症例は下腹痛のために近医内科受診し, 下腹部腫瘤の診断で当科紹介となった76歳の患者で, エコー, MRI所見および腫瘍マーカーCA19-9上昇から卵巣癌を強く疑った. また精査過程でのPET-CTで骨盤内腫瘤とともに左乳房腫瘤, 左腋窩リンパ節腫大および左胸膜腫瘤を指摘され左乳癌およびその転移の可能性を指摘され, 乳房生検の病理診は浸潤性乳管癌であった. 卵巣癌疑いおよび左乳癌の診断で子宮全摘術, 両側付属器摘出術, 大網切除術, および胸筋温存左乳房切除術, 腋窩リンパ節郭清術を施行した. 病理検査結果より進行期IIIBの卵巣癌肉腫で, 進行期IIIBの乳癌とともに重複癌の診断となった. 術後, 卵巣癌肉腫に対する加療を優先することとし, アリミデックス(R)内服と共に補助化学療法としてtriweekly TC療法を6コース施行した, 評価判定のPET-CTで腟断端再発を疑い腫瘤摘出術および骨盤+傍大動脈リンパ節郭清術を施行するも再発所見なく, 3コース化学療法を追加後経過観察とした. 加療終了1か月後PET-CTを含む画像所見で異常なく著効と判断したが, その1か月後に新生児頭大の下腹部腫瘤を認め再発の診断となり, 再発後3か月で永眠された. 結論として, 予後不良の卵巣癌肉腫の場合, 著効と思われても再発しやすくその後の進行も速いことからQOLを考慮した治療計画を立てる必要があると思われた.
ISSN:1882-482X