腹腔鏡下子宮筋腫摘出術後妊娠に癒着胎盤を発症した一例

【概要】近年晩婚化・晩産化の影響により腹腔鏡下子宮筋腫摘出術が増加しており, 子宮筋腫摘出術後妊娠の周産期管理を行うことは稀ではない. 子宮術後妊娠は子宮破裂, 癒着胎盤, 産科出血のリスクが高まるとされる. 今回, 腹腔鏡下子宮筋腫摘出術後妊娠に癒着胎盤を合併した症例を経験したので報告する. 症例は35歳, 0経妊0経産. 不妊を主訴に近医を受診し, 同院にて多発子宮筋腫に対して腹腔鏡下子宮筋腫摘出術を施行され, 凍結胚移植にて妊娠成立した. 妊娠34週4日に重症妊娠高血圧腎症のため当院へ母体搬送され, 胎児機能不全, 骨盤位の診断で当日緊急帝王切開術を施行した. 児娩出後, 前回子宮筋腫を...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2016-05, Vol.65 (2), p.301-304
Hauptverfasser: 林広典, 林優理, 曲淵直未, 今村紘子, 瓦林靖広, 河本裕子, 本田直利, 横山幹文, 矢野浩史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【概要】近年晩婚化・晩産化の影響により腹腔鏡下子宮筋腫摘出術が増加しており, 子宮筋腫摘出術後妊娠の周産期管理を行うことは稀ではない. 子宮術後妊娠は子宮破裂, 癒着胎盤, 産科出血のリスクが高まるとされる. 今回, 腹腔鏡下子宮筋腫摘出術後妊娠に癒着胎盤を合併した症例を経験したので報告する. 症例は35歳, 0経妊0経産. 不妊を主訴に近医を受診し, 同院にて多発子宮筋腫に対して腹腔鏡下子宮筋腫摘出術を施行され, 凍結胚移植にて妊娠成立した. 妊娠34週4日に重症妊娠高血圧腎症のため当院へ母体搬送され, 胎児機能不全, 骨盤位の診断で当日緊急帝王切開術を施行した. 児娩出後, 前回子宮筋腫を摘出した子宮底部に約2cmにわたり胎盤が癒着していた. 胎盤癒着部は筋層が欠損し子宮漿膜のみで, 子宮底部から胎盤を透見できる状態であり癒着胎盤と考えられた. 患者の希望により子宮温存手術を行った. 報告は少ないものの腹腔鏡下子宮筋腫摘出術は癒着胎盤を発症するリスクとなる. また凍結融解胚移植は新鮮胚移植よりも癒着胎盤を発症するリスクが高まるとの報告もあり, 本症例は二つの癒着胎盤を発症するリスクを含んでいた. 近年増加している腹腔鏡下子宮筋腫摘出術後妊娠において子宮破裂, 癒着胎盤を想定して, 可能な限り術前診断をつけ, また合併した場合のシミュレーションを普段から行っておくことが重要である.
ISSN:1882-482X