ART後妊娠における絨毛膜下血腫の発生頻度と周産期予後の検討

絨毛膜下血腫 (subchorionic hematoma, SCH) は日常診療においてしばしば遭遇する所見であるが, 自然に吸収され周産期予後に影響しないものがある一方で, 流早産に影響を及ぼすものがある. 今回我々は, 生殖補助医療 (Assisted Reproductive Technology, ART) はSCHの発症に関与するのか, またSCH合併は周産期予後に影響しているのかを検討した. 2013年1月から2015年7月の間に当院で妊娠初期より妊娠管理を行い, 分娩までフォローが可能であった803例 (うちART症例47例) を対象とした. SCHが存在した症例において, 年...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2016-05, Vol.65 (2), p.167-170
Hauptverfasser: 大谷恵子, 中村康彦, 坂本優香, 三輪照未, 鳥居麻由美, 三輪一知郎, 讃井裕美, 佐世正勝, 上田一之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:絨毛膜下血腫 (subchorionic hematoma, SCH) は日常診療においてしばしば遭遇する所見であるが, 自然に吸収され周産期予後に影響しないものがある一方で, 流早産に影響を及ぼすものがある. 今回我々は, 生殖補助医療 (Assisted Reproductive Technology, ART) はSCHの発症に関与するのか, またSCH合併は周産期予後に影響しているのかを検討した. 2013年1月から2015年7月の間に当院で妊娠初期より妊娠管理を行い, 分娩までフォローが可能であった803例 (うちART症例47例) を対象とした. SCHが存在した症例において, 年齢, 流産既往, SCHの大きさ, 周産期合併症, 分娩転帰について, ART群 (融解胚移植群と新鮮胚移植群) とその他の妊娠群 (non-ART群) で比較検討した. SCHの発症頻度は, ART群ではnon-ART群と比較し有意に高く, また融解胚移植群ではnon-ART群と比較し有意に高かった. SCHの平均径, 年齢, 産科歴は両群間で明らかな差を認めなかった. 融解胚移植群ではnon-ART群と比較し, 妊娠高血圧症候群 (pregnancy induced hypertension, PIH) の発症と緊急帝王切開率が有意に高かった. ART後妊娠, 特に融解胚移植後妊娠ではSCHの発症が有意に多く, ARTがSCHの形成に何らかの影響を与えることが示唆された. また, SCH発症融解胚移植後妊娠では, PIHの発症が有意に多く緊急帝王切開率も高率であったことより, これらの症例についてはより慎重な周産期フォローが必要と思われた.
ISSN:1882-482X