婦人科がん患者における終末期医療の現状
「目的」 : がん患者の多くは人生の最後を自宅で過ごしたいと希望されているが, 現実には医療を行う側や受ける側の体制の問題や, 病状の不安定性などの問題から自身の希望に沿った終末期医療を受けられない場合もある. 婦人科がん患者の終末期での医療について現状と問題点を明らかにするため検討を行った. 「対象と方法」 : 2006年から2015年の10年間に当院で診断し死亡した婦人科がん患者のうち予期しない他病死や事故死を除いた87例を対象とし, 治療内容, 闘病期間, 終末期の療養場所, 死亡の経緯などを当院倫理委員会の規定に従って後方視的に検討した. 「結果」 : 年齢は17-95歳, 中央値67...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2016-05, Vol.65 (2), p.163-165 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「目的」 : がん患者の多くは人生の最後を自宅で過ごしたいと希望されているが, 現実には医療を行う側や受ける側の体制の問題や, 病状の不安定性などの問題から自身の希望に沿った終末期医療を受けられない場合もある. 婦人科がん患者の終末期での医療について現状と問題点を明らかにするため検討を行った. 「対象と方法」 : 2006年から2015年の10年間に当院で診断し死亡した婦人科がん患者のうち予期しない他病死や事故死を除いた87例を対象とし, 治療内容, 闘病期間, 終末期の療養場所, 死亡の経緯などを当院倫理委員会の規定に従って後方視的に検討した. 「結果」 : 年齢は17-95歳, 中央値67歳. がん治療として手術は69例 (79.3%), 化学療法は68例 (78.2%), 放射線治療は29例 (33.3%) に施行 (重複あり), 集学的治療は68例 (78.2%), がん治療無しは2例 (2.3%) であった. 全例に緩和ケアは施行されていた. 死亡場所は療養型病院44例 (50.6%), 当院27例 (31.0%), 自宅16例 (18.4%) であったが当院死亡のうち7例は自宅療養中の状態悪化による入院後の死亡であった. 療養型病院のうち緩和ケア病棟の認定施設への転院は11例であった. 治療開始から死亡までの平均闘病期間は療養型病院例24.9ヵ月, 当院例21.6ヵ月, 自宅例20.0ヵ月で療養型病院へ転院後から死亡までの期間の平均は5.2ヵ月, 自宅へ退院後から死亡までの期間の平均は2.8ヵ月であった. 「考察」 : 在宅緩和ケアの普及は十分とは言えず, 現状では病院での死亡事例が多数を占めていた. その中には病状の不安定性に対する不安から病院受診の継続を求める事例も少なくないと思われた. 今後人生の最後を自宅で過ごしたいと考える人々の希望に沿えるように在宅支援の充実やがん診療早期からの啓蒙活動が重要と考えられた. |
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ISSN: | 1882-482X |