消化管閉鎖を合併せず臍帯潰瘍を生じ, 胎児機能不全を来した一例

臍帯潰瘍は臍帯のワルトンゼリー変性のために生じ, 高頻度に子宮内胎児死亡や児の重度障害を引き起こすが, 原因の詳細は不明な部分が多い. 多くは胎児消化管閉鎖症に合併するが, 今回消化管閉鎖を合併しない児に生じた臍帯潰瘍を経験したので報告する. 症例は, 29歳3経妊2経産. 妊娠37週1日児の胎動減少の自覚あり. 妊娠37週3日予定帝王切開術前日のため入院, 胎児心拍モニターにて一過性頻脈の減少, 軽度・高度遅発一過性徐脈を認めた. 腹部超音波検査にて羊水をほぼ認めず, 胎児機能不全と判断し緊急帝王切開術を施行した. 高度の羊水混濁を認めた. 出生児は女児, APS 9/9点(1分/5分),...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:現代産婦人科 2015-05, Vol.64 (2), p.365-370
Hauptverfasser: 宮原友里, 岡部倫子, 森川恵司, 植田麻衣子, 片山陽介, 松岡敬典, 浅野令子, 関野和, 舛本佳代, 小松玲奈, 沖本直輝, 依光正枝, 上野尚子, 石田理, 野間純, 児玉順一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:臍帯潰瘍は臍帯のワルトンゼリー変性のために生じ, 高頻度に子宮内胎児死亡や児の重度障害を引き起こすが, 原因の詳細は不明な部分が多い. 多くは胎児消化管閉鎖症に合併するが, 今回消化管閉鎖を合併しない児に生じた臍帯潰瘍を経験したので報告する. 症例は, 29歳3経妊2経産. 妊娠37週1日児の胎動減少の自覚あり. 妊娠37週3日予定帝王切開術前日のため入院, 胎児心拍モニターにて一過性頻脈の減少, 軽度・高度遅発一過性徐脈を認めた. 腹部超音波検査にて羊水をほぼ認めず, 胎児機能不全と判断し緊急帝王切開術を施行した. 高度の羊水混濁を認めた. 出生児は女児, APS 9/9点(1分/5分), 体重2250g, 臍帯動脈pH 7.283. 胎盤に欠損はなく臍帯は中央に付着し過捻転は認めなかった. 児の臍帯付着部位に限局して潰瘍を認め血管が露出していた. 病理組織診断では, 臍帯に臍帯炎を認めたものの胎盤に炎症や梗塞像, 血栓形成は認めなかった. 児には白血球上昇およびCRPの軽度上昇を認めたが, 呼吸状態は安定していた. 臍から排膿があったが, 細菌培養陰性であった. 臍帯潰瘍は, 消化管閉鎖による胎児吐物中の膵酵素により臍帯の変性が生じておこるとされているが, 胎便に起因すると考えられる臍帯潰瘍も報告されている. 本症例では, 消化管閉鎖は認めず高度の羊水混濁を認めたため, 胎便に起因すると考えられる臍帯潰瘍と診断した.
ISSN:1882-482X