腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術後に卵巣未熟奇形腫と診断された4例の検討

卵巣奇形腫の大部分は成熟嚢胞性奇形腫で, 未熟奇形腫は卵巣奇形腫全体の3%を占める稀な腫瘍である. 卵巣未熟奇形腫は若年者に好発する疾患で, 成熟嚢胞性奇形腫との鑑別が困難なことから術後の病理検査の結果で未熟奇形腫と診断されることがある. 今回我々は, 術前に成熟嚢胞性奇形腫と診断し腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術を施行したが, 未熟奇形腫と診断された4例について検討を行ったので報告する. 【症例1】29歳, 未経妊. 下腹部腫瘤感で近医を受診し, 卵巣腫瘍と子宮筋腫を指摘され紹介となった. 左卵巣は9×7cmに腫大し, 腫瘍マーカーは正常値であった. 腹腔鏡下左卵巣腫瘍摘出術, 子宮筋腫核出術を施行し...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2015-05, Vol.64 (2), p.287-292
Hauptverfasser: 占部智, 野坂豪, 阿部由実子, 濱崎晶, 數佐淑恵, 中島祐美子, 児玉美穂, 熊谷正俊, 上田克憲, 坂手慎太郎, 頼英美, 兒玉尚志, 原鐵晃, 内藤博之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:卵巣奇形腫の大部分は成熟嚢胞性奇形腫で, 未熟奇形腫は卵巣奇形腫全体の3%を占める稀な腫瘍である. 卵巣未熟奇形腫は若年者に好発する疾患で, 成熟嚢胞性奇形腫との鑑別が困難なことから術後の病理検査の結果で未熟奇形腫と診断されることがある. 今回我々は, 術前に成熟嚢胞性奇形腫と診断し腹腔鏡下卵巣腫瘍摘出術を施行したが, 未熟奇形腫と診断された4例について検討を行ったので報告する. 【症例1】29歳, 未経妊. 下腹部腫瘤感で近医を受診し, 卵巣腫瘍と子宮筋腫を指摘され紹介となった. 左卵巣は9×7cmに腫大し, 腫瘍マーカーは正常値であった. 腹腔鏡下左卵巣腫瘍摘出術, 子宮筋腫核出術を施行した. 【症例2】27歳, 未経妊. 腹部痛で近医を受診し, CT検査で卵巣腫瘍を指摘され紹介となった. 10cmの多房性左卵巣腫瘍と3cmの右卵巣腫瘍を認め, CA19-9は636U/mlと高値であった. 腹腔鏡下に両側卵巣腫瘍摘出術を施行した. 【症例3】38歳, 1経妊1経産. 近医で不妊治療中に卵巣腫瘍を指摘され紹介となった. 7cmの左卵巣腫瘍で腫瘍マーカーは正常値であった. 腹腔鏡下に左卵巣腫瘍摘出術を施行した. 【症例4】16歳, 未経妊. 下腹部腫瘤感で近医を受診し, 卵巣腫瘍を指摘され紹介となった. 14×10cmの左卵巣腫瘍で, 腫瘍マーカーは正常値であった. 腹腔鏡下に左卵巣腫瘍摘出術を施行した. 4症例ともに病理組織診断は未熟奇形腫, grade 1で臨床進行期Ic(b)期であった. 症例1・3・4はその後, 患側付属器切除術を施行し, 病変の遺残がないことを確認した. 症例2は患者の強い希望により患側付属器切除術を行わず経過観察としたが, 4例とも再発は認めていない. 未熟奇形腫を術前に正確に診断することは困難であるため, 成熟嚢胞性奇形腫の手術に際しては, 腫瘍内容液が腹腔内に漏出しないよう配慮することが必要と考えられた.
ISSN:1882-482X