悪性子宮広間膜腫瘍の一例

子宮広間膜腫瘍は子宮広間膜内あるいはその表面に発生する腫瘍で, 子宮, 卵巣, 卵管腫瘍とは明らかに区別されるものである. 子宮広間膜腫瘍のほとんどは良性であり, 悪性または境界悪性の頻度は2~3%と稀である. 今回我々は非常に稀な悪性子宮広間膜腫瘍の茎捻転症例を経験したので報告する. 症例は70歳女性. 子宮筋腫にて子宮全摘出の既往がある. 下腹部痛を主訴に当院受診した. 腹部CT検査にて骨盤内に8cm大の腫瘤と血性腹水を認めた. 血圧低下を伴う急速な貧血の進行を認め腹腔内出血, 卵巣腫瘍の茎捻転の診断にて, 開腹手術を行った. 開腹すると両側卵巣は正常であった. 右付属器領域に8cm大の暗...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2015-05, Vol.64 (2), p.257-261
Hauptverfasser: 立花綾香, 三宅すずか, 笠井可菜, 山下瑞穂, 大野義雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:子宮広間膜腫瘍は子宮広間膜内あるいはその表面に発生する腫瘍で, 子宮, 卵巣, 卵管腫瘍とは明らかに区別されるものである. 子宮広間膜腫瘍のほとんどは良性であり, 悪性または境界悪性の頻度は2~3%と稀である. 今回我々は非常に稀な悪性子宮広間膜腫瘍の茎捻転症例を経験したので報告する. 症例は70歳女性. 子宮筋腫にて子宮全摘出の既往がある. 下腹部痛を主訴に当院受診した. 腹部CT検査にて骨盤内に8cm大の腫瘤と血性腹水を認めた. 血圧低下を伴う急速な貧血の進行を認め腹腔内出血, 卵巣腫瘍の茎捻転の診断にて, 開腹手術を行った. 開腹すると両側卵巣は正常であった. 右付属器領域に8cm大の暗赤色腫瘤を認め, 基部で捻転し, 腫瘤は破裂していた. 腹腔内に血塊286g, 血性腹水1400mlを認めた. 1.5cm大の左傍卵巣腫瘍を認め, 大網と腸管は腹膜に広範囲に癒着していた. 腫瘤摘出, 右付属器摘出, 左傍卵巣嚢腫摘出, 左卵管摘出, 大網部分切除を行った. 病理組織学的検査では, 腫瘤は卵巣や卵管と明らかな連続性はみられず, 子宮広間膜原発と考えられた. 病理診断はEndometrioid adenocarcinoma with unusual histological pattern (G1)であった. 術後dose dense TC療法を3クール行い, 現在経過観察中である. 急性腹症の症例で, 子宮付属器に腫瘤を認めた場合, 卵巣腫瘍の茎捻転とともに, 子宮広間膜腫瘍茎捻転の可能性も考慮すべきである. 子宮広間膜腫瘍は一般的に良性が多いが, 非常に稀ながら悪性腫瘍が認められることがあり, 慎重な取り扱いが必要である.
ISSN:1882-482X