照射野内再発にIMRT (intensity-modulated radiation therapy) が著効した子宮頸癌の一例

同時化学放射線療法(CCRT)が進行子宮頸癌への初回標準治療としての地位を築いた現在, 照射野内再発あるいはキードラッグであるシスプラチンへの耐性症例が大きな問題となっている. 子宮頸癌の照射野内再発は非常に難治性であり, 手術療法を除いて長期生存は期待し難く, 通常緩和治療が中心となる. IMRT(intensity-modulated radiation therapy)は照射野内の放射線強度を変調させながら線量分布を形成することで, 不整形腫瘍に対しても高線量を照射しながら周囲臓器への線量は減少できることが特徴であり, 婦人科領域での応用も期待されている. 今回我々は, 傍大動脈リンパ節...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2014-05, Vol.63 (2), p.373-378
Hauptverfasser: 小川千加子, 呉隆進, 早田裕, 西田傑, 春間朋子, 楠本知行, 中村圭一郎, 関典子, 増山寿, 平松祐司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:同時化学放射線療法(CCRT)が進行子宮頸癌への初回標準治療としての地位を築いた現在, 照射野内再発あるいはキードラッグであるシスプラチンへの耐性症例が大きな問題となっている. 子宮頸癌の照射野内再発は非常に難治性であり, 手術療法を除いて長期生存は期待し難く, 通常緩和治療が中心となる. IMRT(intensity-modulated radiation therapy)は照射野内の放射線強度を変調させながら線量分布を形成することで, 不整形腫瘍に対しても高線量を照射しながら周囲臓器への線量は減少できることが特徴であり, 婦人科領域での応用も期待されている. 今回我々は, 傍大動脈リンパ節(para-aortic nodes, 以下PAN)領域の照射野内再発に対し, IMRTを用いた再照射を他施設に依頼し, 良好な結果を得た一例を経験したのでこれを報告する. 症例は38歳, 子宮頸癌IIb期であり, 初回治療として広汎子宮全摘術と術後CCRT(PAN照射を含む)を行った. 治療後合併症としてイレウスの加療を要した. 治療終了後10ヶ月でPAN再発をきたした. 十分な説明の上, IMRTを用いた再照射63Gy/21回/31日間を施行した. 治療後にはPET集積は消失し, 腫瘍マーカーも正常化した. 再治療後2年2ヶ月の時点で早期・晩期有害事象は認めず無病生存である. 照射野内再発で手術不能な場合, 通常は化学療法が選択されるが, 延命効果にとどまる. 本症例から, 照射野内単発再発への治療法の選択肢の一つとしてIMRTが有効であり, 長期生存につながる可能性が示唆された.
ISSN:1882-482X