骨盤内腫瘍の術後にたこつぼ心筋症を来した一症例
たこつぼ心筋症は1990年にわが国ではじめて報告された疾患で, 心筋梗塞に類似した臨床像, 心電図変化で発症し, 心エコーで心尖部の無収縮, つぼ型拡張といった特徴的な「たこつぼ」様の形態を示す. 急性期の冠動脈造影では有意な狭窄をみとめない. 心電図変化や壁運動の異常は短期間で正常化し, 基本的に予後良好な疾患である2). 今回我々は骨盤内腫瘍術中に大量出血を来し, 術後たこつぼ心筋症を発症した1例を経験したので報告する. 症例は77歳女性. 骨盤内腫瘍に対する手術中に9,820gの出血を来たし, 大量輸血を行った. 術後2日目に胸痛を訴え心電図変化, 左室壁運動異常, 左室収縮能の低下がみ...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2011, Vol.60 (1), p.155-161 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | たこつぼ心筋症は1990年にわが国ではじめて報告された疾患で, 心筋梗塞に類似した臨床像, 心電図変化で発症し, 心エコーで心尖部の無収縮, つぼ型拡張といった特徴的な「たこつぼ」様の形態を示す. 急性期の冠動脈造影では有意な狭窄をみとめない. 心電図変化や壁運動の異常は短期間で正常化し, 基本的に予後良好な疾患である2). 今回我々は骨盤内腫瘍術中に大量出血を来し, 術後たこつぼ心筋症を発症した1例を経験したので報告する. 症例は77歳女性. 骨盤内腫瘍に対する手術中に9,820gの出血を来たし, 大量輸血を行った. 術後2日目に胸痛を訴え心電図変化, 左室壁運動異常, 左室収縮能の低下がみられた. 心筋逸脱酵素の上昇はなく, たこつぼ心筋症と考えられた. 術後12日目には壁運動, 左室収縮能は著明に改善し, 経過良好でその後退院となった. たこつぼ心筋症は未だその原因や病態が十分に解明されていない. しかし, 心因的・身体的なストレスに曝された後に発症したという報告を多く認め3)4), ストレスによる何らかの負荷が本症を引き起こす一つの誘因と考えられている. また, 本症は高齢の閉経女性に好発し, エストロゲン低下との関連も示唆されている3). |
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ISSN: | 1882-482X |