悪性腫瘍が疑われた骨盤内放線菌症の一例
骨盤内放線菌症(actinomycosis)は婦人科領域では子宮内避妊器具(IUD)の長期装着が誘因となる稀な疾患である. 今回我々は, IUDを長期装着した骨盤内放線菌症の1例を経験したので報告する. 患者は56歳, 3妊3産, 23年前にIUDを挿入した. 不正性器出血にて前医を受診し, 子宮頸部細胞診でclass Vと判定され, 精査加療目的に当科紹介となった. 内診上, 膣壁, 右子宮傍結合織に軽度硬結を触知し, 進行子宮頸癌の存在が疑われた. 当院での子宮頸部細胞診はclass II, 多数の好中球を背景に放線菌の集塊を認めた. 子宮頸部組織診は軽度の頸管炎所見のみであった. 骨盤M...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2010, Vol.59 (2), p.239-242 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 骨盤内放線菌症(actinomycosis)は婦人科領域では子宮内避妊器具(IUD)の長期装着が誘因となる稀な疾患である. 今回我々は, IUDを長期装着した骨盤内放線菌症の1例を経験したので報告する. 患者は56歳, 3妊3産, 23年前にIUDを挿入した. 不正性器出血にて前医を受診し, 子宮頸部細胞診でclass Vと判定され, 精査加療目的に当科紹介となった. 内診上, 膣壁, 右子宮傍結合織に軽度硬結を触知し, 進行子宮頸癌の存在が疑われた. 当院での子宮頸部細胞診はclass II, 多数の好中球を背景に放線菌の集塊を認めた. 子宮頸部組織診は軽度の頸管炎所見のみであった. 骨盤MRI検査では右付属器腫瘍を認めたが, 子宮内には異常所見なくリンパ節腫大も認めなかった. PET-CT検査でもFDGの異常集積なく, 腫瘍マーカーは正常であった. 放線菌感染に由来する炎症性変化の可能性も考えられたが, 悪性疾患を完全に否定できないこと, 右付属器腫瘍を認めたことから, 準広汎子宮全摘術, 両側付属器切除術を施行した. 開腹すると右卵管は腫大し留水腫様であったが, 他に腹腔内には異常は認められなかった. 迅速腹水細胞診は陰性, 病理組織検査では悪性所見は認めず, 右卵管に高度の炎症所見を認めた. 子宮内腔にはFD-1が埋まりこみ子宮から右付属器にかけて放線菌の菌塊を含む膿瘍形成を認めた. 放線菌感染による子宮・卵管留膿腫と診断した. IUD装着者で悪性疾患が疑われる場合は, 本疾患も鑑別疾患として考慮する必要があると思われた. |
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ISSN: | 1882-482X |