急性腎不全のため血液透析後に手術および化学療法を施行した卵巣明細胞腺癌の1例

急性腎不全の多くは, 原疾患の治療と腎不全期の管理を適切に行うことによって軽快する. 急性腎不全のため血液透析を導入し, 腎機能の改善後に手術, 化学療法を施行した卵巣明細胞腺癌症例を経験した. 症例は55歳, 4経妊2経産, 52歳閉経. 数ヶ月前より下腹部痛と食欲不振を認め, 増強したため前医を受診し卵巣腫瘍と診断され, 造影CTを施行した. 下腹部痛に対し, ジクロフェナクナトリウム坐剤50mgを断続的に使用した. 3日後に当科を紹介され受診し, PS(Performance status)4の状態で緊急入院した. 単純CTで10cm大の充実部分を持つ嚢胞性腫瘤を認め, CA125:20...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2009, Vol.58 (2), p.261-264
Hauptverfasser: 高本晴子, 藤原久也, 山本弥寿子, 平田英司, 三好博史, 工藤美樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:急性腎不全の多くは, 原疾患の治療と腎不全期の管理を適切に行うことによって軽快する. 急性腎不全のため血液透析を導入し, 腎機能の改善後に手術, 化学療法を施行した卵巣明細胞腺癌症例を経験した. 症例は55歳, 4経妊2経産, 52歳閉経. 数ヶ月前より下腹部痛と食欲不振を認め, 増強したため前医を受診し卵巣腫瘍と診断され, 造影CTを施行した. 下腹部痛に対し, ジクロフェナクナトリウム坐剤50mgを断続的に使用した. 3日後に当科を紹介され受診し, PS(Performance status)4の状態で緊急入院した. 単純CTで10cm大の充実部分を持つ嚢胞性腫瘤を認め, CA125:20655U/ml, CA19-9:1106210U/ml, CEA:200.3ng/mlと高値であり右卵巣癌を推定した. 入院時367ml/日の乏尿でBUN:83.3mg/dl, Cre:3.71mg/dlの所見で急性腎不全と診断し血液透析を2回行った. 透析開始4日目にBUN:31.0mg/dl, Cre:1.10mg/dlと改善し手術を行った. 腹膜炎の状態で, 乳白色調の膜状物が腹腔内の広範囲に付着し, 右卵巣腫瘍は骨盤壁に強固に癒着し破綻していた. 腹式単純子宮全摘出術, 両側付属器摘出術, 骨盤リンパ節郭清術, 大網切除術を施行し, 卵巣明細胞腺癌Ic(a)期と診断した. 術後の腎機能は正常で, paclitaxel/CBDCA(TC)療法を施行した. 本症例は, 脱水状態や鎮痛剤, 造影剤の使用により急性腎不全が発症したと考えられた.
ISSN:1882-482X