肺高血圧合併妊娠の二症例

肺高血圧症合併妊娠は母児ともに様々なリスクを伴い, 循環器科や麻酔科と協力した厳重な妊娠・分娩管理が必要となる. 今回われわれは原発性肺高血圧症合併妊娠の一症例及び続発性合併妊娠の一症例を経験したため報告する. 【症例1】39歳, 1経妊0経産. 二年前に原発性取高血圧症と診断され, 在宅酸素療法を行っていた. 妊娠初期に近医より当科紹介となった. 妊娠18週, 呼吸困難感の増悪と下腿浮腫にて入院となるも, 安静・酸素投与で状態は安定していた. 二週間毎の心機能評価でも肺高血圧の急性増悪を認めなかった. 麻酔科, 循環器科とのカンファレンスの結果, 硬膜外麻酔下の経腟分娩を予定した. 妊娠38...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2009, Vol.58 (2), p.131-135
Hauptverfasser: 衛藤英理子, 政廣聡子, 赤堀洋一郎, 岸本佳子, 松本由紀子, 沖本直輝, 井上誠司, 増本由美, 瀬川友功, 増山寿, 平松祐司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:肺高血圧症合併妊娠は母児ともに様々なリスクを伴い, 循環器科や麻酔科と協力した厳重な妊娠・分娩管理が必要となる. 今回われわれは原発性肺高血圧症合併妊娠の一症例及び続発性合併妊娠の一症例を経験したため報告する. 【症例1】39歳, 1経妊0経産. 二年前に原発性取高血圧症と診断され, 在宅酸素療法を行っていた. 妊娠初期に近医より当科紹介となった. 妊娠18週, 呼吸困難感の増悪と下腿浮腫にて入院となるも, 安静・酸素投与で状態は安定していた. 二週間毎の心機能評価でも肺高血圧の急性増悪を認めなかった. 麻酔科, 循環器科とのカンファレンスの結果, 硬膜外麻酔下の経腟分娩を予定した. 妊娠38週0日前期破水となり, スワンガンツカテーテル・中心静脈カテーテル・末梢動脈ラインにてモニタリングしながら硬膜外麻酔併用での陣痛促進を行ったが, 翌日分娩停止及び子宮内感染の疑いにて緊急帝王切開術を施行した. 2628gの女児(Apgar score 8/9)であった. 術後肺動脈圧が上昇したためCICUでの治療を受け, 術後14日目に退院となった. 【症例2】26歳, 0経妊0経産. 5歳時に多発性肺動静脈瘻と診断され摘出術を受けたが肺高血圧症が残存し, 抗凝固薬内服で管理されていた. 妊娠初期に当科初診. 妊娠33週, 特に症状はなかったがBNP上昇のため入院となった. 安静・酸素投与・ヘパリン持続静注にて管理するも次第に心機能が悪化したため, 陣痛誘発による計画分娩を予定した. 妊娠37週6日頚管拡張後, 陣痛再来し, スワンガンツカテーテル・中心静脈カテーテル・末梢動脈ラインを挿入. フェンタネスト静注による和痛分娩を併用した吸引分娩にて2300gの女児(Apgar score 9/10)を分娩した. 産褥期はCICUで管理されていたが, 右心不全症状が出現した. 産褥19日目に近医転院の上, 利尿剤投与により軽快した.
ISSN:1882-482X