抗癌剤毒性と卵巣保護:GnRHアゴニスト療法が有用と考えられた1例

生殖年齢患者への抗癌剤治療では, その卵巣毒性が問題となる. 特にアルキル化剤は性腺に対して強い毒性があるため, 投与後の早発卵巣不全が危惧される. 抗癌剤毒性に対する卵巣機能保護を目的に, GnRHアゴニスト療法を行った症例を経験したので報告する. 患者は30歳女性, 乳房穿刺吸引細胞診にて悪性リンパ腫と診断され, 当院血液内科で抗癌剤治療を開始した. 抗癌剤治療開始後に右卵巣腫瘍を疑われて当科紹介となった. 同時期より抗癌剤治療と平行して, GnRHアゴニスト療法を行った. 抗癌剤治療終了2ヶ月後には月経の再開を認めた. GnRHアゴニスト投与による卵巣保護の機序としては, (1)卵胞刺激...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2009, Vol.57 (3), p.27-30
Hauptverfasser: 宮本綾子, 谷口文紀, 周防加奈, 荒田和也, 田頭由紀子, 渡邉彩子, 堀江さや子, 月原悟, 片桐千恵子, 岩部富夫, 原田省
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:生殖年齢患者への抗癌剤治療では, その卵巣毒性が問題となる. 特にアルキル化剤は性腺に対して強い毒性があるため, 投与後の早発卵巣不全が危惧される. 抗癌剤毒性に対する卵巣機能保護を目的に, GnRHアゴニスト療法を行った症例を経験したので報告する. 患者は30歳女性, 乳房穿刺吸引細胞診にて悪性リンパ腫と診断され, 当院血液内科で抗癌剤治療を開始した. 抗癌剤治療開始後に右卵巣腫瘍を疑われて当科紹介となった. 同時期より抗癌剤治療と平行して, GnRHアゴニスト療法を行った. 抗癌剤治療終了2ヶ月後には月経の再開を認めた. GnRHアゴニスト投与による卵巣保護の機序としては, (1)卵胞刺激ホルモンの抑制(2)卵巣および子宮への血流量の減少(3)GnRHレセプターの活性化(4)Sphingosine-1-phosphateの発現亢進(5)Germline stem cellの保護等が挙げられる.
ISSN:1882-482X