血清サイログロブリン値と甲状腺シンチグラフィが診断の一助となった卵巣甲状腺腫の1例
卵巣甲状腺腫は腫瘍組織の広範囲を甲状腺組織が占めており, 単一胚細胞由来と考えられている. 発症頻度は全卵巣腫瘍の0.3%とまれであり, 術前診断は困難なことが多い. 今回血清サイログロブリンが異常高値であり, 甲状腺シンチグラフィが診断の一助となった卵巣甲状腺腫を経験したので報告する. 症例は50歳女性, 1妊1産. 既往歴に39歳時甲状腺癌にて甲状腺亜全摘術を受けている. 39歳からは自己判断にて受診していない. 5年前から卵巣腫大を指摘されており, 検診にて卵巣腫瘍を指摘されたため当科紹介初診となった. 経膣超音波にて内部に2cm大の充実部分を有する4cm大の多房性嚢胞性左卵巣腫瘍を認め...
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Veröffentlicht in: | 現代産婦人科 2009, Vol.57 (3), p.1-4 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 卵巣甲状腺腫は腫瘍組織の広範囲を甲状腺組織が占めており, 単一胚細胞由来と考えられている. 発症頻度は全卵巣腫瘍の0.3%とまれであり, 術前診断は困難なことが多い. 今回血清サイログロブリンが異常高値であり, 甲状腺シンチグラフィが診断の一助となった卵巣甲状腺腫を経験したので報告する. 症例は50歳女性, 1妊1産. 既往歴に39歳時甲状腺癌にて甲状腺亜全摘術を受けている. 39歳からは自己判断にて受診していない. 5年前から卵巣腫大を指摘されており, 検診にて卵巣腫瘍を指摘されたため当科紹介初診となった. 経膣超音波にて内部に2cm大の充実部分を有する4cm大の多房性嚢胞性左卵巣腫瘍を認めた. 腫瘍マーカーはCEA 1.43ng/ml, CA1257.4U/ml, CA19-9 20.2U/ml, CA72-4 2.9U/mlといずれも正常範囲であった. 骨盤MRIではT2強調画像で嚢胞の信号強度がそれぞれ異なっていた. 血清サイログロブリン:1470ng/mlと異常高値のため甲状腺癌再発を疑ったが頸部超音波検査, 頸部CTでは異常を認めず, I-123甲状腺シンチグラフィでは残存している甲状腺とともに左卵巣に集積を認め, 卵巣甲状腺腫が疑われた. 腹腔鏡下両側付属器切除術を施行し, 術後組織標本では左卵巣の充実部分全体が甲状腺組織であったため, 卵巣甲状腺肺と診断された. |
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ISSN: | 1882-482X |