アルコール固定後卵巣チョコレート嚢胞に腹腔鏡手術を施行した4症例

卵巣子宮内膜症性嚢胞(以下チョコレート嚢胞)の治療としては侵襲の少なさからアルコール固定が選択される場合もあるがその効果・合併症について一定の見解は得られていない. 今回我々は他施設でアルコール固定を行った再発4症例に対し腹腔鏡手術を施行したので報告する. 症例1から4までのアルコール固定からチョコレート嚢胞再発までの期間はそれぞれ64ヶ月, 43ヶ月, 48ヶ月, 21ヶ月であった. 症例1は未婚であるが, 症例2から4は不妊症治療中にアルコール固定を行った症例であった. 症例1から3では手術時両側卵巣がチョコレート嚢胞を形成し周囲と強固に癒着し, 卵巣実質は炎症性に肥厚し正常部分は線維化を...

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Veröffentlicht in:現代産婦人科 2007, Vol.56 (1), p.25-29
Hauptverfasser: 羽原章子, 温泉川真由, 新甲 靖, 横田康平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:卵巣子宮内膜症性嚢胞(以下チョコレート嚢胞)の治療としては侵襲の少なさからアルコール固定が選択される場合もあるがその効果・合併症について一定の見解は得られていない. 今回我々は他施設でアルコール固定を行った再発4症例に対し腹腔鏡手術を施行したので報告する. 症例1から4までのアルコール固定からチョコレート嚢胞再発までの期間はそれぞれ64ヶ月, 43ヶ月, 48ヶ月, 21ヶ月であった. 症例1は未婚であるが, 症例2から4は不妊症治療中にアルコール固定を行った症例であった. 症例1から3では手術時両側卵巣がチョコレート嚢胞を形成し周囲と強固に癒着し, 卵巣実質は炎症性に肥厚し正常部分は線維化を認めており, 腹腔鏡下癒着剥離, チョコレート嚢胞切除, 骨盤内洗浄を施行した. 症例4は不妊治療中の腹痛, 発熱を訴え受診し, チョコレート嚢胞の再発は認めなかったが, アルコール固定した左卵巣は被膜が肥厚し, 子宮, S状結腸と内膜症性に癒着し死腔が形成され, 黄色の液体100mlが貯留しており, アルコール注入時の漏出による炎症の存在が考えられた. 症例2.3は術後4ヵ月後に妊娠した. チョコレート嚢胞に対するアルコール固定は再発, 正常卵巣部分の変性, 周囲への炎症の波及が問題である. 今回の症例でも全症例アルコール固定の影響と思われる炎症性の変化を卵巣実質に認めた. アルコール固定は症例によっては一時的な腫瘍の縮小を目的として行う意義もあるが, 初回治療では以後の排卵, 妊娠に対する影響を考えると第一選択にすべきではないと考えられた.
ISSN:1882-482X