乳酸桿菌 (Lactobacillus casei) の好気・微好気・嫌気培養に伴う形態変化

「I. 緒言」細菌は単細胞生物なので, 多細胞生物のように多様な形態をとれない. 一般に細菌の細胞は, 比較的小さな分布で形態や大きさを一定に保っている. しかし, ストレスなど環境の一時的な変動に伴う形態変化も珍しくない. つまり, 周囲の環境に応じて細胞の大きさ, 長さ(縦横比)や形, 鞭毛や繊毛の有無などの変化を見せることが知られている. 著名な研究例として, Pseudomonas属細菌の培養により浮遊と沈澱, 液面膜形成という3種の明確に異なる細胞形態の出現が報告されている. そして, それらは遺伝的に区別されず, 1種を単離培養しても3種の形態が再度見られる. 本分野でもっとも精力...

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Veröffentlicht in:生物試料分析 2020-06, Vol.43 (3), p.214-219
Hauptverfasser: 西矢芳昭, 中道朱音, 清水太一, 大西純平, 青木駿介, 尾賀裕一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」細菌は単細胞生物なので, 多細胞生物のように多様な形態をとれない. 一般に細菌の細胞は, 比較的小さな分布で形態や大きさを一定に保っている. しかし, ストレスなど環境の一時的な変動に伴う形態変化も珍しくない. つまり, 周囲の環境に応じて細胞の大きさ, 長さ(縦横比)や形, 鞭毛や繊毛の有無などの変化を見せることが知られている. 著名な研究例として, Pseudomonas属細菌の培養により浮遊と沈澱, 液面膜形成という3種の明確に異なる細胞形態の出現が報告されている. そして, それらは遺伝的に区別されず, 1種を単離培養しても3種の形態が再度見られる. 本分野でもっとも精力的な研究は, Bacillus属桿菌細胞の長さの変化を対象としており, 特にB. Subtilisのストレス条件下における細胞伸長機構が分子レベルで解明されている. 細菌細胞の形態変化は, 医療分野においても重要である.
ISSN:0913-3763