血清亜鉛の臨床的意義

「I. はじめに」1961年プラサドがヒトの亜鉛欠乏症の存在を示唆する論文2)を出して, 約45年が過ぎた. この間に, 文献的には実に多彩な亜鉛欠乏の症状が報告されている. その症状は発育遅延や発育異常, 性的発育遅延や無月経, 精子の減少, 貧血や免疫低下による反復する感染症の発症, 夜盲症や暗順応障害の眼科疾患, 脱毛症などの皮膚症状や創傷治癒遅延, 食欲不振や減退, 反復性. 持続性の下痢などの消化器症状, 味覚障害や味覚異常, 臭覚異常に精神状態の異常や行動異常等など, 実に多彩である. しかし, 医師は知識として, 亜鉛欠乏により味覚障害や味覚異常を呈することを知ってはいても, 実...

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Veröffentlicht in:生物試料分析 2008, Vol.31 (2), p.110-120
Hauptverfasser: 倉澤隆平, 久堀周治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. はじめに」1961年プラサドがヒトの亜鉛欠乏症の存在を示唆する論文2)を出して, 約45年が過ぎた. この間に, 文献的には実に多彩な亜鉛欠乏の症状が報告されている. その症状は発育遅延や発育異常, 性的発育遅延や無月経, 精子の減少, 貧血や免疫低下による反復する感染症の発症, 夜盲症や暗順応障害の眼科疾患, 脱毛症などの皮膚症状や創傷治癒遅延, 食欲不振や減退, 反復性. 持続性の下痢などの消化器症状, 味覚障害や味覚異常, 臭覚異常に精神状態の異常や行動異常等など, 実に多彩である. しかし, 医師は知識として, 亜鉛欠乏により味覚障害や味覚異常を呈することを知ってはいても, 実感としてこれほど多彩な欠乏症状があると知っている者は殆ど居ないと言っても過言でない. 特に, 現代のような飽食の時代に, 体内にほんの数グラム含まれている微量元素亜鉛の不足が生じ, 欠乏症が存在するなど, 余程特殊な状況でなければあり得ないと考えられてきた.
ISSN:0913-3763