汎用HPLCを用いる高感度アルミニウム測定試薬キットについて

米国では2004年の1月より, 注射剤中アルミニウムの規制が実施できるように準備が進められている. 同様に, 日本の各製薬メーカーにおいても企業の責任に基づいて, その試験法確立のために種々な検討がなされている. アルミニウムの高感度測定には, 一般的にICP-AES(Inductively coupled plasma atomic emission spectrometer), ICP-MS(Inductively coupled plasma mass spectrometer)及びGF-AAS(Graphite furnace atomic absorption spectromete...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 佐藤誠, 堀内美穂, 橋本寛喜, 松田淳
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:米国では2004年の1月より, 注射剤中アルミニウムの規制が実施できるように準備が進められている. 同様に, 日本の各製薬メーカーにおいても企業の責任に基づいて, その試験法確立のために種々な検討がなされている. アルミニウムの高感度測定には, 一般的にICP-AES(Inductively coupled plasma atomic emission spectrometer), ICP-MS(Inductively coupled plasma mass spectrometer)及びGF-AAS(Graphite furnace atomic absorption spectrometer)が用いられる. 米国内ではGF-AASによる品質管理方法がこの分野において長年検討されてきた. しかし, ICP-AES, ICP-MS及びGF-AASを各工場の品質管理方法として運用するには技術面及びコスト的な限界があると予想される. これに比べて, すでに品質管理部門に深く浸透しているHPLCを用いる本法は非常に有効である. 【実験】計測システムを構成する試薬, 装置及び測定操作は次のとおりである. 測定キットは, 筆者らの手法に基づいて調製されたシノテスト製のクロマトレーサーA1ラベル化試薬キットを用いた. キットにはキレート試液(R1:8-キノリノール塩酸溶液)とキレート形成液(R2:BES緩衝液pH7.5)が含まれており, 本研究では別売のHPLC溶離液(R3:硫酸ドデシルナトリウム含有BES緩衝液pH7.0)とインジェクター洗浄液(R4)を用いて実験を行った. HPLCシステムは島津製作所製の10Aシリーズと日本分光製のガリバーシリーズをそれぞれ用いた. カラムは資生堂製のCAPCELL PAKAL{50mm×4.6mmi. d. , 逆相系(フェニル基)}と野村化学製のDevelosil Shinal{35mm×4.6mmi. d. , 逆相系(フェニル基)}を用いた. これらのカラムは本キット専用に開発されたカラムである. HPLCへ注入するラベル化試料の調製方法は以下の通りである. すなわち, 測定キットに添付されている1.5ml容量のアルミニウム分析専用バイアルにキットのキレート試液(R1)を50μl分注し, ここに試料(注射剤, 標準液, または超純水)150μlを加え, 十分にかくはんした. この反応混液にキレート形成液(R2)を400μl加えて室温にて10分間放置し, アルミニウムと8-キノリノールの1:3錯体を形成した. この反応液80μlをHPLCに注入して蛍光検出(Ex=370nm, Em=504nm)し, アルミニウム濃度を測定した. HPLCの溶離液は流速1,000μl/minで用いた. 【結果】各注射剤について, 製剤中のアルミニウムの測定を行いクロマトグラムの確認を行った. 試験した50%ブドウ糖注射液, 総合アミノ酸製剤など多くの注射剤について良好なクロマトグラムが得られた. また, 抗体製剤などのタンパク質含有製剤中アルミニウムの測定も可能であった. さらに, これらの製剤を開発する過程で予想される細胞培養液中のアルミニウムの測定についても試みた. その結果, 試した2種類の細胞培養液については測定可能であった. 【考察】本システムではμg/リットルレベルの注射剤中のアルミニウムが測定可能である. また, 試料への添加回収試験の結果も良好であり測定値はICP-MSの測定値とよく一致した. 代表的な輸液製剤についてはICP-AESと同等の3分以内の分析法も開発可能である. 本法はコストパフォーマンス性に優れており, 特に品質管理用に適している. 本研究は(株)同仁化学研究所, (株)資生堂ならびに野村化学(株)の協力によって行った. 【文献】1)Makoto Sato, Hajime Yshimura, Tetsuo Shimmura, Hideki Obi, Shin-ichi Hatakeyama, Emiko Kaneko, Hitoshi Hoshino, Takao Yotsuyanagi, J. Chromatogr. A, 789, 361(1997). 2)佐藤誠, 松田淳, 村山晴喜, 辛龍雲, 金子恵美子, 四ツ柳隆夫:分析化学(Bunseki Kagaku), 49, 429(2000). 3 )佐藤誠, 橋本寛喜, 石川智幸, 松田淳, 芳村一, 橋本晶夫, 四ツ柳隆夫:分析化学(Bunseki Kagaku), 51, 507(2002).
ISSN:0913-3763