健康診断受信者で抽出される総肝動脈幹リンパ節についての検討
超音波(US)装置の解像力向上に伴い, 小さなリンパ節の描出が可能になっている. 特に, 総月働脈幹リンパ節(No8LN「胃癌取扱い規約」)は非悪性腫瘍例においてしばしば描出され, 肝炎などで描出される頻度が高い事が報告されている. しかし, 総月働脈幹リンパ節は, 健常人においてもしばしば描出され, その臨床的意義については十分な検討がなされていない. 今回我々は, 健康診断受診者を対象とし, 総肝動脈幹リンパ節(以下No8LN)について描出率, 大きさ, 血液検査結果等から検討し, 興味ある所見を得たので報告する. 【対象及び方法】対象は2001年5月から6月の期間に当院健康管理センターを...
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Veröffentlicht in: | 生物試料分析 2002, Vol.25 (1), p.68-68 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 超音波(US)装置の解像力向上に伴い, 小さなリンパ節の描出が可能になっている. 特に, 総月働脈幹リンパ節(No8LN「胃癌取扱い規約」)は非悪性腫瘍例においてしばしば描出され, 肝炎などで描出される頻度が高い事が報告されている. しかし, 総月働脈幹リンパ節は, 健常人においてもしばしば描出され, その臨床的意義については十分な検討がなされていない. 今回我々は, 健康診断受診者を対象とし, 総肝動脈幹リンパ節(以下No8LN)について描出率, 大きさ, 血液検査結果等から検討し, 興味ある所見を得たので報告する. 【対象及び方法】対象は2001年5月から6月の期間に当院健康管理センターを訪れた外来ドック受診者138人(男性107人, 女性31人)であり, このうち4例にHBs抗原またはHCV抗体陽性を含む. 方法は下大静脈を長軸方向に描出し総肝動脈, 上腸間膜動脈, 膵臓周囲のリンパ節の有無を観察し, 肝下縁, 膵頭側にみられる低エコー構造物をNo8LNとした. その長径と短径を測定し, 超音波所見, 血液検査及び飲酒量との関係について比較検討した. 尚, 飲酒量については日本酒1合に換算した量である. 使用装置はアロカ製SSD2000で, 探触子は5. 0MHz convexを用いた. 【結果】No8LNは138人中50例(36.2%)に描出され, その大きさは長径11.9±4.3mm, 短径5.1±1.3mm, 最大径25mm, 最小径3mmであった. まず, 併存していた超音波所見との関連性について検討を行い, 次に飲酒量, 血液検査との関連性を検討した. 1. 疾患の超音波所見 超音波所見により, 脂肪肝, 良性肝腫瘍(血管腫, 嚢胞), 胆嚢結石または胆嚢炎(以下胆嚢炎群), 肝炎, 正常の5群にわけ, それぞれのNo8LN描出率, 大きさについて比較した. 尚, 肝炎群は, 超音波所見上ほぼ正常であるが, 血液検査によってHBS抗原またはHCV抗体陽性と確認された症例である. 1)描出率:脂肪肝群12/25(48%), 良性肝腫瘍群15/38例(39.5%), 胆嚢炎群4/12例(33.3%), 肝炎群2/4例(50%), 正常群25/70例(34.7%)であった. 各群間の検出率に有意差は認められなかった. 2)大きさ:短径は全て10mm以下であった. 長径×短径をLN indexとして大きさを比較すると脂肪肝群58.5±18.2mm2, 肝良性腫瘍群59.3±23.4mm2, 胆嚢炎群77.0±19.5mm2, 肝炎群124.5±36.1mm2, 正常群57.5±33.5mm2であり, 肝炎群は正常群に比しNo8LNのサイズが有意に大きかった. 2. 飲酒量, 血液検査の関連性 No8LN描出の有無により2群に分けて飲酒量, 生化学検査, 炎症反応等について有意差検定を行い, 更にLNを長径で10mm以下と11mm以上に分け, 同様に有意差検定を行った. 1)飲酒量:リンパ節描出群, 非描出群間に有意差は認められなかった. また, リンパ節描出群における長径の比較でも有意差は認められなかった. 2)血液検査:ALPでリンパ節描出群が非描出群に比して有意に高値を示したが, 長径については差を認めなかった. γ-GTPではリンパ節の長径の増加と共に上昇傾向を認めたが, 有意差は認めなかった. またTP, Albではリンパ節描出群が非描出群に比して有意に低値を示し, 更にリンパ節描出群において長径の増加と共に, 低下傾向を示した. Ch-E, T-Choにおいてもリンパ節の長径の増加と共に低下傾向を示したが有意差は認めなかった. GOT, GPT, 及び炎症反応検査(WBC, CRP)についても検討を行ったが, 明らかな有意差や傾向は認めなかった. 【結語】No8LNの描出率及び大きさは肝炎群で有意に変化した. またその大きさは肝胆系酵素(ALP)及び肝性能合成能を反映する検査値(TP, Alb)において有意な変動がみられた. 今後更に症例数を加えて検討したい. |
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ISSN: | 0913-3763 |