血漿(血清)ハプトグロビンレベル

I はじめに 血漿タンパクの種類は多岐に及び(表1), それぞれが有する生理機能が有効に作用することにより, 生体の維持が図られている. このうちの一部は, 急性活動性タンパク(表2)と言われ, 特に炎症性疾患時に於ける変動は, その特徴とされる. このうちハプトグロビン(Hp)は約2%を占めるグロブリンで, α分画に属し, 酸化型ヘモグロビン(Hb)と特異的に結合するタンパクとして, 1938年にPolonovskiとJayle3)により命名された. しかし一部には, セロムコイドα2 4), PS-2 5), M-2 6)等の名称で呼ばれた時期もあった. このHpの重要な生物学的機能として...

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Veröffentlicht in:生物試料分析 1994-08, Vol.17 (3), p.164-177
Hauptverfasser: 高柳美行, 圓藤ルリ子, 八代有
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I はじめに 血漿タンパクの種類は多岐に及び(表1), それぞれが有する生理機能が有効に作用することにより, 生体の維持が図られている. このうちの一部は, 急性活動性タンパク(表2)と言われ, 特に炎症性疾患時に於ける変動は, その特徴とされる. このうちハプトグロビン(Hp)は約2%を占めるグロブリンで, α分画に属し, 酸化型ヘモグロビン(Hb)と特異的に結合するタンパクとして, 1938年にPolonovskiとJayle3)により命名された. しかし一部には, セロムコイドα2 4), PS-2 5), M-2 6)等の名称で呼ばれた時期もあった. このHpの重要な生物学的機能としては, Hbとの1:1の特異結合があり, これによりHb中の鉄イオンの尿中排泄が防御されている. 又この際, Hbの有する擬過酸化酵素活性は, 上昇する. Hpの遺伝型としては, 3種の主要タイプ(Hp1-1, Hp2-1, Hp2-2)が存在し7), 疾患との関連では, 炎症性疾患時での増加, 溶血性あるいは肝疾患時での減少が知られている8~11). 更に, 精製Hpの治療薬としての臨床評価も実施される現状にある12). II 特性 1. 物理学的性状 1)性状 Hpの物理学的性状については, 表3に示す通りであり, このうちHp1-1のみが物理化学的均一性を有している.
ISSN:0913-3763