抗原抗体反応の基本原理とその新しい展開
1. 抗原抗体反応の概念 ある抗原の生体内への侵入に対して産生された抗体が当の抗原に対して特異的な親和性をもち, 結合することは体液性免疫における最も基本的な反応である. 病原体に対する抗体を用いて凝集, (Gruberら, 1896), 沈降, (Krans, 1897), 溶菌, (Pfeiffer, 1894), 補体結合, (Bordet, 18 )などの諸反応が試験管内でおこることが明らかにされたのは19世紀末から今世紀初頭にかけてであったが, 今日ではこれらの肉眼的に認めうる現象の他に, 生体内で免疫担当細胞と協力して生体の防禦に当り, あるいは組織の障害にも働いていることが明らか...
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Veröffentlicht in: | 生物試料分析 1986, Vol.9 (1), p.49-50 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1. 抗原抗体反応の概念 ある抗原の生体内への侵入に対して産生された抗体が当の抗原に対して特異的な親和性をもち, 結合することは体液性免疫における最も基本的な反応である. 病原体に対する抗体を用いて凝集, (Gruberら, 1896), 沈降, (Krans, 1897), 溶菌, (Pfeiffer, 1894), 補体結合, (Bordet, 18 )などの諸反応が試験管内でおこることが明らかにされたのは19世紀末から今世紀初頭にかけてであったが, 今日ではこれらの肉眼的に認めうる現象の他に, 生体内で免疫担当細胞と協力して生体の防禦に当り, あるいは組織の障害にも働いていることが明らかとなり, 抗原抗体複合体を通じて免疫制御にも役割を演じていることも知られるようになった. 今日ではむしろ後者の生体内の反応の方が本質的な意味をもつと考えられている. しかし他方in vitroの反応は生体の防衛的な面を窺い知るのに非常に有数な手段を提供するので臨床診断に広く用いられていることは周知の通りである. 本講では, in vitroの系で解明された反応の本質を中心にして最近の臨床診断に用いられる鋭敏な検出法について若干ふれる程度としたい. |
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ISSN: | 0913-3763 |