光子ビームにおける水等価固体ファントムを用いた水吸収線量の評価

最近の外部放射線治療における吸収線量測定プロトコル(JSMP-01, AAPM TG-51, IAEA TRS-398)は, 基準ファントムとして, とくに光子線では水の使用に限定している. この理由は, 水が水等価固体ファントム(以下, 固体ファントム)に比べ化学組成が明確で, 普遍的に何処でも簡便に再現性よく利用できるためである. 本研究では, 固体ファントムを用いた水吸収線量の測定について言及する. 固体ファントムは, 溶液である水と比べ, 日常の線量測定や線量検証などの品質管理に簡便に利用できる. われわれは, 固体ファントムによる水吸収線量測定を現プロトコルにしたがって行うために 2...

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Veröffentlicht in:Journal of JASTRO 2007/06/25, Vol.19(2), pp.99-107
Hauptverfasser: 荒木, 不次男, 羽生, 裕二, 奥村, 雅彦, 吉浦, 隆雄, 穴井, 重男, 大浦, 弘樹, 南部, 秀和, 福神, 敏, 川守田, 龍, 山本, 鋭二郎, 秋田, 和彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:最近の外部放射線治療における吸収線量測定プロトコル(JSMP-01, AAPM TG-51, IAEA TRS-398)は, 基準ファントムとして, とくに光子線では水の使用に限定している. この理由は, 水が水等価固体ファントム(以下, 固体ファントム)に比べ化学組成が明確で, 普遍的に何処でも簡便に再現性よく利用できるためである. 本研究では, 固体ファントムを用いた水吸収線量の測定について言及する. 固体ファントムは, 溶液である水と比べ, 日常の線量測定や線量検証などの品質管理に簡便に利用できる. われわれは, 固体ファントムによる水吸収線量測定を現プロトコルにしたがって行うために 2 つの係数を求めた. 1 つは, 固体ファントムの水等価厚を算出するための深さスケーリング係数, もう 1 つは水の校正深における電離量と固体ファントムの水等価校正深における電離量の比, すなわち電離量変換係数である. 本研究では, 4 つの固体ファントム(Solid Water RMI457, Tough Water WE211, RW3, MixDP)について, 4~18 MVの光子エネルギーを用いて 2 つの係数をモンテカルロ計算から算出した. 固体ファントムの深さスケーリング係数は, 構成元素と重量比から計算した相対電子濃度と1.5%以内で一致した. 電離量変換係数は, 壁材の異なる 6 種類の電離箱について計算した. 壁材の違いによる差はほとんどなかった. また, 電離量変換係数は, 多くの施設で測定値と比較した. RMI457とWE211における測定値と計算値の差は-0.5~0.7%であり, 計算値が平均で0.3%高くなった. RW3は 1 つのファントム測定だけであるが, 0.5%以内で一致した. MixDPは計算値と測定値の誤差が大きく, -0.2~-1.5%であり, 測定値は平均で 1%低くなった. 市販されている固体ファントムは, 化学組成や均一性, 製造過程での再現性が必ずしも規定どおりと限らないので, 本研究で示した電離量変換係数を使用する際は, 測定によって確認する必要がある. とくに, MixDPでは変動が大きく, 使用においては注意が必要である.
ISSN:1040-9564
1881-9885
DOI:10.11182/jastro.19.99