放射線増感剤の腫瘍内投与法に関する基礎的研究

放射線増感剤 (RP-170 400mg/kg) の腫瘍内投与による放射線増感効果比と腫瘍内薬剤濃度について腹腔内投与時と比較検討した. 腫瘍はBDF1マウスの下腿部に移植したLewis肺癌を用いた.腫瘍内投与時の増感効果は, 皮下腫瘍では腹腔内投与時より優れ, 筋肉内腫瘍では腫瘍内投与5分後の照射では腹腔内投与時より劣ったが, 30分後では同等の効果が得られた. 腫瘍内投与10分後の薬剤の腫瘍内残存量は投与量の0.4-0.8%であり, 投与後30分でもほぼ同値であった. 両投与法とも大きな腫瘍で腫瘍内濃度は低値であった. 照射後の腫瘍では腹腔内投与時には腫瘍の増大と共に腫瘍内濃度は低下し,...

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Veröffentlicht in:Journal of JASTRO 1992/12/25, Vol.4(4), pp.241-248
Hauptverfasser: 大泉, 幸雄, 生子, 孝広, 母里, 知之, 宮田, 善之, 鈴木, 利光, 坂口, 正一
Format: Artikel
Sprache:eng ; jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:放射線増感剤 (RP-170 400mg/kg) の腫瘍内投与による放射線増感効果比と腫瘍内薬剤濃度について腹腔内投与時と比較検討した. 腫瘍はBDF1マウスの下腿部に移植したLewis肺癌を用いた.腫瘍内投与時の増感効果は, 皮下腫瘍では腹腔内投与時より優れ, 筋肉内腫瘍では腫瘍内投与5分後の照射では腹腔内投与時より劣ったが, 30分後では同等の効果が得られた. 腫瘍内投与10分後の薬剤の腫瘍内残存量は投与量の0.4-0.8%であり, 投与後30分でもほぼ同値であった. 両投与法とも大きな腫瘍で腫瘍内濃度は低値であった. 照射後の腫瘍では腹腔内投与時には腫瘍の増大と共に腫瘍内濃度は低下し, 腫瘍内投与時は逆に上昇傾向にあった. しかし, 増感効果の経時的変化に大差はなかった. エピネフリンの腫瘍内投与は, 腫瘍内薬剤の滞留性を高めたが, 低酸素細胞増加のために増感剤の効果増強はみられなかった. このように増感効果比は, 腫瘍内増感剤濃度と必ずしも一致せず, 腫瘍内血流・低酸素細胞の過多・薬剤の腫瘍内分布等の関与が考えられた. 腫瘍内投与法の問題点として, 腫瘍内薬剤の不均一性や早期腫瘍外への消失について考察した. 腫瘍内投与は, 腹腔内投与時とは異なった作用分布をとることが予想され, 皮下腫瘍のように血流の少ない腫瘍にとっては有用であることが示唆された.
ISSN:1040-9564
1881-9885
DOI:10.11182/jastro1989.4.241