脳原発悪性リンパ腫の放射線治療: 照射効果と放射線脳障害の解析

1981年から1987年までの間に新潟大学病院において全頭蓋とboostの初回照射 (計約54Gy) が行われた脳原発悪性リンパ腫18例について, 主として画像所見および剖検所見によって, 一次効果, 再燃ならびに脳障害を検討した. 抗腫瘍効果としては, 全例にCRが得られたが, 7例に再燃が認められた. 再燃部位は, 中枢神経系5例, 中枢神経外2例であり, 中枢神経系の中では原病巣再発は少なく (1例), 頭蓋内他部や脊髄の再燃 (4例) が多かった. 再燃の危険因子として, 治療前に複数個の病巣の存在することが重要であると考えられた. 一方, 明かな再燃は認められずに活動性の低下する症例...

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Veröffentlicht in:Journal of JASTRO 1990/09/25, Vol.2(3), pp.219-231
Hauptverfasser: 稲越, 英機, 酒井, 邦夫, 斎藤, 真理, 武田, 憲夫, 田中, 隆一, 高橋, 均, 根本, 啓一, 登木, 口進
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:1981年から1987年までの間に新潟大学病院において全頭蓋とboostの初回照射 (計約54Gy) が行われた脳原発悪性リンパ腫18例について, 主として画像所見および剖検所見によって, 一次効果, 再燃ならびに脳障害を検討した. 抗腫瘍効果としては, 全例にCRが得られたが, 7例に再燃が認められた. 再燃部位は, 中枢神経系5例, 中枢神経外2例であり, 中枢神経系の中では原病巣再発は少なく (1例), 頭蓋内他部や脊髄の再燃 (4例) が多かった. 再燃の危険因子として, 治療前に複数個の病巣の存在することが重要であると考えられた. 一方, 明かな再燃は認められずに活動性の低下する症例が多く, 画像所見として脳障害 (脳萎縮・白質の低吸収域化など) が多く認められた. 以上の結果から, 脳障害を低減する必要があり, また再燃の様式および危険因子を勘案すれば治療成績向上の可能性があると考えられ, 頭部照射線量低減の可能性ならびに脊髄予防照射の可否について考察した.
ISSN:1040-9564
1881-9885
DOI:10.11182/jastro1989.2.219