P-11 鰹節のコレステロール摂取ラットへ及ぼす血漿脂質低下作用

【目的】鹿児島は脳血管系疾患, 心疾患, 精神疾患の受病率が全国平均より非常に高く, それに伴い医療費も非常に高い地域である. そこでこれらの疾患を食生活面から改善することを目指し, n-3系食品であり, 本県で生産される鰹節がコレステロールを摂取したラット体内へ及ぼす影響について検討を行った. 【方法】雌のSDラットの4週令を6群に分け, 全脂質量を6%とするコーン油群, 大豆油群と鰹節群のそれぞれに2%コレステロール添加の有無を含む飼料で11週間飼育した. 飼料中のたんぱく質はコーン油群と大豆油群は20%カゼイン, 鰹節群は鰹節中のたんぱく質で20%ととした. さらに, 実験食で飼育後4週...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:脂質栄養学 2008, Vol.17 (2), p.151-151
Hauptverfasser: 坂井恵子, 宮脇千尋, 橋口由佳, 海老原綾子, 高田秀穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】鹿児島は脳血管系疾患, 心疾患, 精神疾患の受病率が全国平均より非常に高く, それに伴い医療費も非常に高い地域である. そこでこれらの疾患を食生活面から改善することを目指し, n-3系食品であり, 本県で生産される鰹節がコレステロールを摂取したラット体内へ及ぼす影響について検討を行った. 【方法】雌のSDラットの4週令を6群に分け, 全脂質量を6%とするコーン油群, 大豆油群と鰹節群のそれぞれに2%コレステロール添加の有無を含む飼料で11週間飼育した. 飼料中のたんぱく質はコーン油群と大豆油群は20%カゼイン, 鰹節群は鰹節中のたんぱく質で20%ととした. さらに, 実験食で飼育後4週間目からはオープンフィールドの行動実験を11週目まで行った. その後, 心臓穿刺により血液を, また肝臓はじめ主な臓器を採取した. その後血液中の総コレステロール量, HDLコレステロール量, グルコース量, グリコーゲン量, トリグリセライド量などの測定を行った. 【結果】血漿中の総コレステロール量は, コレステロール無添加の場合コーン油群と大豆油群よりも魚油群は低い傾向であった. そして, コレステロール2%含有食餌を摂取したラットの血漿の場合, コーン油群と大豆油群では総コレステロール量が約2倍に上昇したが, 鰹節群では無添加の状態と同様に変化は認められなかった. 体重は, 鰹節群がコーン油や大豆油群に比較して体重の増加傾向が認められ, 特にコレステロール添加群で顕著であった. オープンフィールド行動実験では, コーン油群や大豆油群に比べて鰹節群では行動範囲が極めて狭く活動量も少なかったが, コレステロール添加食ではやや活動的になる傾向が認められた. 【考察・結論】鰹節にはコレステロール添加食を摂取したラットの血中総コレステロール量を上昇させない作用を持つことが認められた. 本実験での鰹節群では, たんぱく質源は鰹節だけであったが, コーン油群や大豆油群のカゼインに比べて成長に差が認められなく, むしろどの群よりも体重が増加した. また行動実験からは, コレステロール添加すると活動領域が広がるのが認められた. 本実験から鰹節にはn-3系食品として機能するが, 生体に及ぼす代謝機能についてはさらなる実験の必要性が示唆された.
ISSN:1343-4594