O-2 マウスのアディポネクチン・シグナルに及ぼす魚油の摂取の影響

【目的】アディポネクチンは内臓脂肪細胞より分泌されるアディポサイトカインで, AMPKを活性させ, 肝臓や筋肉における脂肪酸酸化や糖の取り込みを促進すると考えられている. 我々は前回, マウスに魚油を摂取させると, 血中のアディポネクチン濃度が増加することを報告したが, それがAMPKの活性化や, 脂肪酸酸化や糖の取り込みの促進に寄与しているかは未だ不明である. そこで本研究では, 魚油摂取による血中のアディポネクチンの増加とそれに伴うアディポネクチン・シグナルに対する影響について検討した. 【方法】6%ラードおよび6%魚油をそれぞれ含む飼料を4ヶ月齢の雄性Crlj:CD-1(ICR)マウスに...

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Veröffentlicht in:脂質栄養学 2008, Vol.17 (2), p.127-127
Hauptverfasser: 樋口智之, 丸谷幸子, 益谷文子, 白井展也, 西塔正孝, 鈴木平光, 和田俊, 高田秀穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】アディポネクチンは内臓脂肪細胞より分泌されるアディポサイトカインで, AMPKを活性させ, 肝臓や筋肉における脂肪酸酸化や糖の取り込みを促進すると考えられている. 我々は前回, マウスに魚油を摂取させると, 血中のアディポネクチン濃度が増加することを報告したが, それがAMPKの活性化や, 脂肪酸酸化や糖の取り込みの促進に寄与しているかは未だ不明である. そこで本研究では, 魚油摂取による血中のアディポネクチンの増加とそれに伴うアディポネクチン・シグナルに対する影響について検討した. 【方法】6%ラードおよび6%魚油をそれぞれ含む飼料を4ヶ月齢の雄性Crlj:CD-1(ICR)マウスに与えた. 飼育期間を4週間および12週間とし, それぞれの飼育期間終了後に24時間絶食させて解剖し, 血液, 肝臓および大腿骨格筋を採取した. 得られた血漿および肝臓を用いて, 血糖値, 血漿アディポネクチン濃度を測定した. 肝臓および骨格筋におけるAMPKの下流にあるターゲット遺伝子のmRNA発現量は定量PCR法により測定した. AMPKのリン酸化の分析はウェスタンブロッティング法により行なった. 【結果】マウスの血漿アディポネクチン濃度は4週目におけるラード群および魚油群でそれぞれ8.36±0.87μg/mlと11.61±1.24μg/mlで, 12週目においては8.83±1.29μg/mlと13.75±2.70μg/mlで, 12週目において魚油群はラード群に比べて有意に高かった. しかしAMPKのリン酸化の程度は4週目および12週目のいずれもラード群および魚油群間でほとんど差が認められなかった. またAMPKより下流の骨格筋におけるGLUT4のmRNA量にはほとんど差が認められず, 肝臓中におけるPEPCKおよびG6PaseのmRNA量は魚油群において高い傾向を示した. 【考察及び結論】魚油摂取により血中アディポネクチンは増加するが, AMPK活性が認められず, GLUT4, PEPCKおよびG6Paseの発現がAMPK活性化時にみられるような傾向を示さないことから, 魚油の摂取はアディポネクチン・シグナルを活性化しない可能性があると思われる.
ISSN:1343-4594