高齢者の食事援助に取り組んで
当病棟の入院患者の平均年齢は88歳である. ハンセン病の後遺症と合併症(内科疾患, 外科疾患, 痴呆)を伴っているため, 我々は, 障害を持ちながらその人らしい生活ができるようにケアーしている. 食事介助にあたっては, 個々の患者の特徴を知り, 好みを尊重しできるだけ自分で食事がとれるように工夫した. その結果患者が自分で食べる機能を維持でき, 食べることへの意欲がみられたのでここに報告する. 視力障害, 全盲, 下垂手, 手指欠損など様々なハンセン病の後遺症や高齢による身体機能の低下からくる食事摂取時の問題点を把握し, 援助方法を考え実施することで残存機能の維持を図る. 患者4名を対象とし改...
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Veröffentlicht in: | 日本ハンセン病学会雑誌 2002-08, Vol.71 (3), p.254-254 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 当病棟の入院患者の平均年齢は88歳である. ハンセン病の後遺症と合併症(内科疾患, 外科疾患, 痴呆)を伴っているため, 我々は, 障害を持ちながらその人らしい生活ができるようにケアーしている. 食事介助にあたっては, 個々の患者の特徴を知り, 好みを尊重しできるだけ自分で食事がとれるように工夫した. その結果患者が自分で食べる機能を維持でき, 食べることへの意欲がみられたのでここに報告する. 視力障害, 全盲, 下垂手, 手指欠損など様々なハンセン病の後遺症や高齢による身体機能の低下からくる食事摂取時の問題点を把握し, 援助方法を考え実施することで残存機能の維持を図る. 患者4名を対象とし改良, 実施をした. (1)介護度調査票を用い, 患者の日常生活の自立度介護度を把握する. (2)残存機能を生かし, 自分で摂取できるように各自にあった自助具, 食器を工夫する. (3)食べこぼしによる衣類の汚染による不快や苦痛を軽減するための改良エプロンの使用. (4)食事形態を工夫し食事を食べやすくする. 高齢に加え, ハンセン病による身体障害のため, 目が見えず, 手が変形するなど不自由な人に対し, 本人に合った自助具や食器の工夫は, 自力での食事摂取を維持させ, 患者に満足感をもたらした. また, 改良エプロンを使用したことは, 皮膚症状の改善や更衣回数の減少など, 患者側の利点だけでなく, 介護者の業務量削減にもつながった. 食事形態の工夫は, 食事量や飲水量の増加や, 嚥下障害のある患者の誤えん防止になっている. 今後さらに老齢化が進む中, 「今までできていたことができなくなる」状況が増えてくる. 今回の研究を通し, 介護は何でも手を貸すのではなく, 残存機能を最大限活用するために, 介護者が創意工夫し援助することが大切だと再認識した. |
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ISSN: | 1342-3681 |