環境清浄方法の見直し

近年, 新興再興感染症が注目され, 現代は感染症の時代と言われている. 患者の高齢化医療の高度化種々薬剤の多用などにより, 感染症患者は増加傾向にあり特に院内感染は今日極めて重大な社会問題となっている. 当園, 当科においても院内感染対策として感染源の遮断と室内環境を整えるため環境清浄を行っている. そこで, 現在行っている環境清浄の有効性を確認するために細菌検査を行い, 再検討できたのでここに報告する. 現状の環境内の細菌を検査し, 現在の環境清浄方法の有効性を確認する. 環境微生物検査用クリーンスタンプを用いて細菌検査を行う. 1. 検査場所a)一般生菌測定用(以下一般用とする)は日頃の処...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本ハンセン病学会雑誌 2002, Vol.71 (1), p.83-83
Hauptverfasser: 横内里美, 神優美子, 竹内千景, 西村久美子, 三浦文子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 新興再興感染症が注目され, 現代は感染症の時代と言われている. 患者の高齢化医療の高度化種々薬剤の多用などにより, 感染症患者は増加傾向にあり特に院内感染は今日極めて重大な社会問題となっている. 当園, 当科においても院内感染対策として感染源の遮断と室内環境を整えるため環境清浄を行っている. そこで, 現在行っている環境清浄の有効性を確認するために細菌検査を行い, 再検討できたのでここに報告する. 現状の環境内の細菌を検査し, 現在の環境清浄方法の有効性を確認する. 環境微生物検査用クリーンスタンプを用いて細菌検査を行う. 1. 検査場所a)一般生菌測定用(以下一般用とする)は日頃の処置状況から使用頻度と周囲からの飛散で汚染度が高いと考えた処置台10cm2b)多剤耐性黄色ブドウ球菌用(以下MRSA用)はMRSA感染者が使用した足台10cm2. 2. 菌の採取順序(1)午前中の診察処置終了後(2)50%消毒用イソプロパノール(以下イソブタノールとする)清拭後(3)0. 2%塩化ペンザルコニウム液(以下0. 2%オスバン液とする)清拭後(4)紫外線殺菌装置20W×8本(以下UV-Cライザーとする)を1時間照射をし翌朝. 結果:a)一般用については(1)午前中の診療処置終了後では7回中7回全てに常在菌(枯草菌黄色ブドウ球菌以外のブドウ球菌)が検出されたが, (2)イソブタノール清拭後と(3)0. 2%オスバン液清拭後には消失している. (4)UV-Cライザーを1時間照射し翌朝では7回中4回少数の細菌が検出された. b)MRSA用では全て3回とも菌は検出されなかった. 今回の検査結果からイソブタノールのみでも殺菌効果が得られていると考える. MRSA用の結果については菌が検出されず, 従来の方法と感染防止手順の実践で感染源の遮断と室内環境を整えることが出来ていると言える. 以上の結果から従来の環境清浄方法を見直し, 0. 2%オスバン液清拭を廃止し, 床を除く全体の清掃はイソブタノールのみで行っている. 院内感染防止対策は, 看護婦一人一人が感染防止に関わる責任を自覚して行うことこそ全ての基本であり, 最大関心事でなければならない. 発生要因を理解するとともに, 感染経路に基づいての防止の実践することが大切である. 今回の研究では検査の回数と方法検体の種類などに課題は残るが, 今後も消毒薬の適応選び方等にも常に目を向け, 感染防止に取り組んで行くことが重要であるというスタッフの意識改革に繋がった.
ISSN:1342-3681