低度Rifampicin耐性らい菌の分離とrpoB遺伝子の変異
一昨年の本学会において, 臨床的にRifampicin(RFP)耐性が疑われた症例よりRFP耐性菌を分離し, そのrpoB遺伝子の変異について報告した. 更に1株を分離し, 各種ハンセン病治療薬に対する感受性と, 遺伝子の変異について検索を行ったので報告する. 【方法】(1)らい菌分離. DDS, RFP, OFLX, CZMを投与されたにも拘わらず, 2年間BI4+以上を保っている患者大腿部よりbiopsyを行った. 中村の方法により雑菌処理後, BALB/c-nu/nuのfootpadに1.0×10 4/0.05ml接種した. 15週目より1群に0.01%RFP含有飼料(10mg/kg/日...
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Veröffentlicht in: | 日本ハンセン病学会雑誌 1998-03, Vol.67 (1), p.46-46 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 一昨年の本学会において, 臨床的にRifampicin(RFP)耐性が疑われた症例よりRFP耐性菌を分離し, そのrpoB遺伝子の変異について報告した. 更に1株を分離し, 各種ハンセン病治療薬に対する感受性と, 遺伝子の変異について検索を行ったので報告する. 【方法】(1)らい菌分離. DDS, RFP, OFLX, CZMを投与されたにも拘わらず, 2年間BI4+以上を保っている患者大腿部よりbiopsyを行った. 中村の方法により雑菌処理後, BALB/c-nu/nuのfootpadに1.0×10 4/0.05ml接種した. 15週目より1群に0.01%RFP含有飼料(10mg/kg/日/マウス)を給餌し, 他の1群にはRFP不含飼料を与えた. 菌接種55週目にfootpad内の菌数を測定し, 各群での増殖を比較した. (2)Buddemeyer法による薬剤感受性試験. 上記観察時に得た菌をヌードマウスにより更に1代継代して得た菌により行った. 2.0×10 7のらい菌を用い, 7H12培地におけるパルミチン代謝能の抑制を指標に, 各種治療薬(RFP, DDS, CZM, OFLX, CAM)に対する感受性を検討した. (3)塩基配列の決定. ヌードマウスより得たらい菌を凍結, 融解処理し, ゲノムDNAを作成し, らい菌rpoB遺伝子の塩基配列に基づいたpimerを用いて増幅したrpoB遺伝子の全領域について塩基配列を調べた. 【結果と考察】(1)無処置ヌードマウスでのfootpad内菌数はlog. 8.74±0.26(n=4)であった. RFP含有飼料投与群の菌数はlog. 5.87±0.10(n=6)であった. RFP投与群の菌数は対照群より少ないものの接種菌量よりは明らかに多かったことから, この株はRFP低度耐性ではないかと考えらた. 0.001%RFP含有飼料を与えた場合の菌数増加について観察中である. (2)薬剤不含培地のBaddemeyerのCPM値は34,133±1,471であった. RFP含有培地での値は22,151±1,532(8μg/ml), 21,760±674(2μg/ml), 24,544±580(0.5μg/ml), 26,916±66(0.5μg/ml)であった. この値は感受性菌あるいは既に報告した0.01%RFP含有飼料で増殖した菌が示した値とは異なるものであり, ヌードマウスより得た所見を支持していた. またこの株が多剤耐性であることを示唆する結果が示された. (3)高頻度で変異の見られるCluster Iの524番目のグリシンをコードする領域にGGCからGGTへの変異が観察されたが, これはアミノ酸には変化もたらさなかった. rpoB遺伝子のその他の領域における変異とRFP耐性度との関係について考察を加える. |
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ISSN: | 1342-3681 |