歩行の右立脚中期から後期に骨盤の過度な右後側方移動が生じることで歩行動作の安全性・安定性低下を認めた小脳梗塞後患者の理学療法

「はじめに」 今回, 歩行の右立脚中期から後期に転倒傾向を認めた小脳梗塞後患者の理学療法を経験した. 本症例の歩行動作を観察したところ, 常に胸腰部および両股関節・膝関節が屈曲位を呈しており, 右立脚中期から後期にかけて右股関節屈曲・内転することにより骨盤の過度な右後側方移動が生じ, 遊脚側である左下肢の足底が内側へ急速に接地する様子がみられた. さらに胸腰部が常に屈曲していることで, 歩行の右立脚期において体幹直立位を保持した状態での右股関節伸展による骨盤および体幹の前方移動が不十分であった. そこでこれらの動作観察をもとに機能障害について仮説を立てたうえで検査, 測定をおこない, 問題点を...

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Veröffentlicht in:関西理学療法 2014, Vol.14, pp.59-65
Hauptverfasser: 辻, 智美, 石橋, 佑実, 貝尻, 望, 藤本, 将志, 大沼, 俊博, 渡邊, 裕文, 鈴木, 俊明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 今回, 歩行の右立脚中期から後期に転倒傾向を認めた小脳梗塞後患者の理学療法を経験した. 本症例の歩行動作を観察したところ, 常に胸腰部および両股関節・膝関節が屈曲位を呈しており, 右立脚中期から後期にかけて右股関節屈曲・内転することにより骨盤の過度な右後側方移動が生じ, 遊脚側である左下肢の足底が内側へ急速に接地する様子がみられた. さらに胸腰部が常に屈曲していることで, 歩行の右立脚期において体幹直立位を保持した状態での右股関節伸展による骨盤および体幹の前方移動が不十分であった. そこでこれらの動作観察をもとに機能障害について仮説を立てたうえで検査, 測定をおこない, 問題点を抽出した. 機能障害の順序性としては, 右大殿筋・中殿筋の筋緊張低下を上位の主要問題と考え, 理学療法をおこなった. しかし理学療法経過において, 右大殿筋・中殿筋の筋緊張低下の問題を改善するだけでは胸腰部の屈曲位が残存し, 頭部が前方に位置することで, 歩行の右立脚中期から後期に右股関節を再び屈曲しようとする働きが生じていた.
ISSN:1346-9606
1349-9572
DOI:10.11354/jkpt.14.59