11. 更衣動作が困難であった右上腕骨骨折患者の一症例 ~結帯動作に着目して

【はじめに】今回, ズボンにシャツを入れる動作が困難であった右上腕骨骨折患者を担当した. 1回の理学療法後, 手を下から背中に回して上げる動作(結帯動作)が改善したので報告する. なお, 症例には発表の同意を得た. 【症例紹介】症例はバイクで転倒し右上腕骨骨折を受傷した52歳女性. 肩関節内旋位固定を2週間おこない, 4週目より理学療法を開始した. 主訴は「右肩が痛い, シャツの後ろをズボンに入れにくい」である. 【理学療法評価】結帯動作は, 右肩甲帯屈曲, 肩関節内旋位が著明でこの状態から肩関節伸展, 外転, 内旋し手が背中に移動した. さらに肩関節外転, 内旋し手が上方移動する際に体幹屈曲...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:関西理学療法 2009, Vol.9, p.211-211
Hauptverfasser: 高見武志, 藤川真未, 山口剛司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】今回, ズボンにシャツを入れる動作が困難であった右上腕骨骨折患者を担当した. 1回の理学療法後, 手を下から背中に回して上げる動作(結帯動作)が改善したので報告する. なお, 症例には発表の同意を得た. 【症例紹介】症例はバイクで転倒し右上腕骨骨折を受傷した52歳女性. 肩関節内旋位固定を2週間おこない, 4週目より理学療法を開始した. 主訴は「右肩が痛い, シャツの後ろをズボンに入れにくい」である. 【理学療法評価】結帯動作は, 右肩甲帯屈曲, 肩関節内旋位が著明でこの状態から肩関節伸展, 外転, 内旋し手が背中に移動した. さらに肩関節外転, 内旋し手が上方移動する際に体幹屈曲, 左側屈, 右肩甲帯挙上, 屈曲した. 肩関節外転時は肩甲上腕関節の運動が少なく, 体幹, 肩甲帯の代償運動を認め, 棘上筋の機能不全を疑った. 徒手筋力検査は肩関節外転2で, 外転と結帯動作時に上腕二頭筋長頭起始部に収縮時痛を認めた. 肩関節外転関節可動域は80°, 外転位での内旋関節可動域は外転60°位で40°, 80°位で20°であった. 指椎間(結帯動作で第7頸椎棘突起~母指)距離は健側15cm, 患側43cmであった. 【治療と結果】肩関節外転位での内旋制限に対して小胸筋, 棘下筋, 小円筋のストレッチと関節可動域練習をおこなった. その後, 棘上筋の機能向上を目的に肩関節外転運動をおこなった. 結果は疼痛が消失し肩関節外転位での内旋他動関節可動域は外転60°位で60°, 80°位で40°に改善, 指椎間距離が36cmに短縮した. 【考察】本症例は肩関節内旋位固定中に肩甲帯屈曲を伴い, 肩関節内旋と小胸筋の短縮により上腕骨頭前方変位していた. 結果, 肩関節内旋により棘上筋の機能不全が起こり関節窩に骨頭を引き付け安定させる機能を上腕二頭筋の過剰収縮で代償し疼痛が出現した. 加えて肩関節可動域制限を体幹屈曲, 左側屈, 右肩甲帯挙上, 屈曲で代償し, 結果的に上腕骨頭前方変位を助長させ結帯動作が困難になったと考えた.
ISSN:1346-9606