10. 麻痺側下肢への装具の常用に伴い座位での跨ぎ動作に困難性を認めた脳出血後左片麻痺の一症例

【はじめに】今回, 左麻痺側下肢(以下左下肢)への装具の常用が左下肢の運動性低下を助長し, 入浴時の座位での跨ぎ動作を困難にしていた左片麻痺症例の理学療法を経験した. 症例に対して装具の着用を制限し, 座位にて体幹機能を改善すると共に左下肢の挙上運動を練習した. 結果良好な経過を得たので報告する. なお症例には趣旨を説明し同意を得た. 【症例紹介】症例はX年9月に脳出血により左片麻痺を呈した60歳代の男性である. 発症後, 他院にて2ヶ月間長下肢装具を着用した立位・歩行練習が行われ, 退院後6ヶ月間, 金属支柱付き短下肢装具を常用していた. 発症から8ヶ月経過後, 当院を受診され, 以後理学療...

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Veröffentlicht in:関西理学療法 2009, Vol.9, p.210-210
Hauptverfasser: 津江正樹, 安井重男, 池田幸司, 赤松圭介
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】今回, 左麻痺側下肢(以下左下肢)への装具の常用が左下肢の運動性低下を助長し, 入浴時の座位での跨ぎ動作を困難にしていた左片麻痺症例の理学療法を経験した. 症例に対して装具の着用を制限し, 座位にて体幹機能を改善すると共に左下肢の挙上運動を練習した. 結果良好な経過を得たので報告する. なお症例には趣旨を説明し同意を得た. 【症例紹介】症例はX年9月に脳出血により左片麻痺を呈した60歳代の男性である. 発症後, 他院にて2ヶ月間長下肢装具を着用した立位・歩行練習が行われ, 退院後6ヶ月間, 金属支柱付き短下肢装具を常用していた. 発症から8ヶ月経過後, 当院を受診され, 以後理学療法を週2回の頻度で実施した. 症例の主訴は「左脚が重くて浴槽を跨げない」, ニードは「浴槽を跨ぎたい」であった. 【評価・理学療法】まず座位での跨ぎ動作を観察したところ, 非麻痺側への体重移動の際, 体幹屈曲・右側屈・左回旋・骨盤左回旋が生じ体重移動が困難であった. また左下肢挙上時に骨盤・体幹は後方に傾斜し, 挙上運動が困難であった. そこで検査を実施し, 両側腹筋群・麻痺側股関節屈筋群の筋緊張低下, 両側腰背筋群の筋緊張亢進と麻痺側股関節外旋筋群に筋短縮を認めた. 症例は8ヶ月間装具を常用しており, 常に左下肢に重たさを感じていた. またそのことが様々な姿勢動作において体幹・骨盤・下肢の協調性をもった連結を困難にし, 特に跨ぎ動作時では体幹・骨盤の連結と左下肢の挙上を困難にしていると考えた. そこで症例に装具の常用を制限する必要性を説明し, 実行した. さらに座位での姿勢調整と非麻痺側への体重移動により麻痺側骨盤挙上と非麻痺側体幹の伸長を促し, 麻痺側股関節中間位で左下肢の挙上運動を練習した. 【結果・まとめ】結果, 跨ぎ動作時の左下肢挙上運動が可能となった. 今回の症例を通して, 装具による影響を考慮した上で理学療法を実施する事の必要性を再認識した.
ISSN:1346-9606