災害医療に対する東京都医師会の取り組みと今後

東京都医師会は地区医師会, 大学医師会と共に東京都で発生した災害のみならず全国で発生した災害に対しても積極的に出動してきた. 都内での災害に対しては被災地JMATとして, 発災直後から復興期に至るまで長期間にわたっての活動を行い, 他県での災害に対しては発災1週間後を目途に支援JMATチームを連続的に派遣している. 平時においては東京都の災害医療協議会に参加し災害医療計画の策定に関わり, また研修会・訓練に関しては東京都医師会JMAT研修会(医師会員, その他医療関係者), 区市町村災害医療コーディネート研修会, 東京都災害時図上訓練(2次医療圏ごと), 東京都区市町村合同総合防災訓練を開催・参加している. 対象となる災害は東京都における地震災害のみならず, 水害浸水災害対応も近年の重要な課題と捉えている. さらには感染症流行時の避難所運営についての対応も研修訓練をしている. 大規模イベント開催時のテロ災害対応, 多数傷病者発生事故(Mass Casualty Incident: MCI)対応についても積極的に医療チームを派遣し(東京マラソン大会, 天皇陛下即位礼, 東京2020大会), 事前準備としてテロ災害対応研修を行い, また「大規模イベント医療救護ガイドブック」の作成も行った. 今後の取り組みとしては, 各医療機関での災害時BCP作成の支援, 災害時における病院救急車の活用の支援, 大学医師会との災害時の医療救護班派遣の協定締結を進める等を目指している.