川崎病の治療経過中に認められた偽性高カリウム血症の1乳児例
既往歴, 出生歴に特記すべき事項のない, 3か月の川崎病罹患の女児. 第4病日に眼球結膜充血, 口腔咽頭粘膜の発赤, 不定形発疹, 硬性浮腫, 頸部リンパ節腫脹を認めた事から川崎病と診断し, γグロブリン大量療法(Intravenous immunoglobulin:以下IVIG):2g/kg及び, アセチルサリチル酸 30mg/kg/日の投与を開始した. しかし, IVIGに不応であり追加治療として第6病日にIVIGに加えプレドニゾロン2mg/kg/dayの併用療法を行った. 以後各種川崎病症状は改善を認めたが, 回復期の第9病日に高K血症(6.5mEq/L)を認めた. 心電図所見, TTK...
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Veröffentlicht in: | 東京女子医科大学雑誌 2019/02/25, Vol.89(1), pp.7-12 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 既往歴, 出生歴に特記すべき事項のない, 3か月の川崎病罹患の女児. 第4病日に眼球結膜充血, 口腔咽頭粘膜の発赤, 不定形発疹, 硬性浮腫, 頸部リンパ節腫脹を認めた事から川崎病と診断し, γグロブリン大量療法(Intravenous immunoglobulin:以下IVIG):2g/kg及び, アセチルサリチル酸 30mg/kg/日の投与を開始した. しかし, IVIGに不応であり追加治療として第6病日にIVIGに加えプレドニゾロン2mg/kg/dayの併用療法を行った. 以後各種川崎病症状は改善を認めたが, 回復期の第9病日に高K血症(6.5mEq/L)を認めた. 心電図所見, TTKG, FEKの値は真の高カリウム血症を指し示す所見は認めなかった. その他にカリウムの過剰摂取のエピソードもなく, アセチルサリチル酸, プレドニゾロン以外の薬剤投与歴はなく, 以上から我々は真の高K血症の存在, またそれを示唆する器質的疾患は否定的であった. 以上より偽性高カリウム血症が疑われた. 第10病日ヘパリン管採血施行し, 正常な血漿K値(5.1 mEq/L)を認めた事から, 白血球, ならびに血小板数は高値による偽性高カリウム血症と診断された. その後白血球数, 血小板数の低下に伴い高カリウム血症は改善し, 他川崎病の所見も改善した為, 第22病日確退院し外来経過観察とした. 本症例で偽性高カリウム血症を引き起こしたと考えた要因としては, ステロイド使用による白血球の増加, 川崎病の病態としての血小板数の増加による極端に血球数増加に伴い, 採血管内で放出される遊離Kの量が多い事から血清K値に変動をきたし, 偽性高カリウム血症を引き起こしたと考えられた. |
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ISSN: | 0040-9022 2432-6178 |
DOI: | 10.24488/jtwmu.89.1_7 |