アルコール性ウェルニッケ・コルサコフ症候群に随伴したと思われる攻撃性にメマンチンが有効であった1症例

「緒言」アルコール性コルサコフ症候群は, アルコール依存症患者の10%以上にみられ, 健忘, 作話, 実行機能障害などを主症状とする脳機能障害である. コルサコフ症候群は, ビタミンB1欠乏により急性に発症するウェルニッケ脳症に引き続いて起こることが多く, ウェルニッケ脳症の発見が遅れたり, 適切な治療が行われない場合, 20%が死亡し, 生存者の85%がコルサコフ症候群に発展すると報告され, また適切な治療と断酒の継続においても, 25%の患者が慢性で不可逆的な経過をたどると言われている. コルサコフ症候群における長期経過の中では, 無気力, 無感情, 軽度多幸感などの精神症状が多いが, ま...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2016-01, Vol.86 (suppl), p.130-133
Hauptverfasser: 鈴木枝里子, 高橋一志, 石郷岡純
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」アルコール性コルサコフ症候群は, アルコール依存症患者の10%以上にみられ, 健忘, 作話, 実行機能障害などを主症状とする脳機能障害である. コルサコフ症候群は, ビタミンB1欠乏により急性に発症するウェルニッケ脳症に引き続いて起こることが多く, ウェルニッケ脳症の発見が遅れたり, 適切な治療が行われない場合, 20%が死亡し, 生存者の85%がコルサコフ症候群に発展すると報告され, また適切な治療と断酒の継続においても, 25%の患者が慢性で不可逆的な経過をたどると言われている. コルサコフ症候群における長期経過の中では, 無気力, 無感情, 軽度多幸感などの精神症状が多いが, まれに攻撃性や介護抵抗などの問題行動を認めることもあり, 対応に難渋するケースもある. 今回, 我々はコルサコフ症候群に随伴した攻撃性にメマンチンが有効であった症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0040-9022