保存的にみることができた孤立性上腸間膜動脈解離の1例

「緒言」 上腸間膜動脈解離は, 比較的稀な疾患である. しかし, 画像技術の進歩に伴い, その報告は増加している. 今回激しい頭痛, 背部痛を契機に出現した腹痛のため当院救急搬入となり, 造影CTの結果, 上腸間膜解離と診断した症例を経験した. 「症例」 患者: 56歳, 女性. 主訴: 頭痛, 背部痛, 腹痛. 既往歴: 高血圧, 脂質異常症, 偏頭痛. 内服薬: アゼルニジピン(カルブロック(R)), アトルバスタチン(リピトール(R)), ランソプラゾール(タケプロン(R)). アレルギー: 特記事項なし. 家族歴: 特記事項なし. 現病歴: 某年12月, 入浴後に突然「ガツン」と来るような頭痛を訴え, 背部痛も併発し救急要請された. 搬送中に頭痛と背部痛は軽快したが, 腹痛と嘔気が出現した. 来院時は嘔気も改善していたため, 症状としては軽度の腹痛が残存しているのみであった. 来院時理学所見: 身長158cm 体重57kg.