臨床的にAlpers症候群と診断し, ミトコンドリア呼吸鎖異常症が確認された1剖検例

「緒言」Alpers症候群は, 1931年にAlpersによって報告された大脳灰白質変性を主体とする小児の神経変性疾患である1). また病変が大脳灰白質に留まらず, 時に小脳や大脳基底核におよぶことも報告されている2). Alpers症候群は, 多くは乳幼児早期(1~3歳)で発症し, 知能低下, 難治性部分てんかん, 筋緊張低下, 失調などの神経筋症状が進行性に増悪し, 肝不全に至る予後不良の神経変性疾患である3). また, 近年ミトコンドリア機能障害に伴う酸化的代謝異常症として位置づけられ, 多くは常染色体遺伝形式をとると言われている3)が, 病因は様々で, heterogeneousな疾患...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2013-01, Vol.83 (suppl), p.301-306
Hauptverfasser: 松丸重人, 舟塚真, 中務秀嗣, 塩田睦記, 平野嘉子, 石垣景子, 宇都健太, 大澤眞木子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」Alpers症候群は, 1931年にAlpersによって報告された大脳灰白質変性を主体とする小児の神経変性疾患である1). また病変が大脳灰白質に留まらず, 時に小脳や大脳基底核におよぶことも報告されている2). Alpers症候群は, 多くは乳幼児早期(1~3歳)で発症し, 知能低下, 難治性部分てんかん, 筋緊張低下, 失調などの神経筋症状が進行性に増悪し, 肝不全に至る予後不良の神経変性疾患である3). また, 近年ミトコンドリア機能障害に伴う酸化的代謝異常症として位置づけられ, 多くは常染色体遺伝形式をとると言われている3)が, 病因は様々で, heterogeneousな疾患として知られている. 血液や髄液中の乳酸, ピルビン酸の上昇が認められる場合, ミトコンドリアDNA枯渇症候群が原因のひとつに挙げられている4). 今回, 血液, 髄液およびMRスペクトロスコピー(magnetic resonance spectroscopy: MRS)検査で乳酸値の上昇は認められなかったが, 臨床経過からAlpers症候群が強く疑われ, 剖検で得られた肝組織の精査により, ミトコンドリア呼吸鎖異常症が確認された1例を経験したので報告する.
ISSN:0040-9022