突然発症の頭痛と下垂体機能低下症を呈したラトケ嚢胞の一例

「緒言」 ラトケ嚢胞は胎生期において下垂体前葉が形成される過程において, トルコ鞍内に遺残したRathke's pouchより発生する嚢胞組織で非腫瘍性病変である. 画像診断の進歩とともに発見されることが増えてきた. 多くは無症候に経過するが, 頭痛, 視野障害, 下垂体機能低下などが認められるものは症候性ラトケ嚢胞とされ, 手術対象となる1)~3). 今回, 突然の激しい頭痛を発症した後に低血圧を呈し汎下垂体機能低下症と診断した症例を経験した. 頭痛は日常診療において頻度の高い症状であり, 初診時には鑑別診断が必要である. 鑑別疾患にラトケ嚢胞が含まれていること, そしてその診断時...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2013-02, Vol.83 (1), p.38-42
Hauptverfasser: 白鳥恭子, 三好直美, 広川理恵, 齋藤洋, 齋藤登, 村岡東子, 市原淳弘, 澤田達男, 天野耕作, 野村馨
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」 ラトケ嚢胞は胎生期において下垂体前葉が形成される過程において, トルコ鞍内に遺残したRathke's pouchより発生する嚢胞組織で非腫瘍性病変である. 画像診断の進歩とともに発見されることが増えてきた. 多くは無症候に経過するが, 頭痛, 視野障害, 下垂体機能低下などが認められるものは症候性ラトケ嚢胞とされ, 手術対象となる1)~3). 今回, 突然の激しい頭痛を発症した後に低血圧を呈し汎下垂体機能低下症と診断した症例を経験した. 頭痛は日常診療において頻度の高い症状であり, 初診時には鑑別診断が必要である. 鑑別疾患にラトケ嚢胞が含まれていること, そしてその診断時の注意点を知ることは臨床医にとり大切である. またラトケ嚢胞による下垂体機能低下症についても考察する. 「症例」 症例:55歳, 男性 主訴:低血圧, 倦怠感 家族歴:父親 糖尿病, 母親 乳癌 既往歴:30歳代 高脂血症, 43歳 頭部外傷, 50歳 高血圧・不整脈 生活歴:喫煙 2008年から禁煙, 飲酒 日本酒2合/日 現病歴:2007年頃より降圧剤ビソプロロールフマル酸塩(メインテート(R)), アムロジピンベシル酸塩(アムロジン(R))を内服下で血圧は120/70~80mmHgにコントロールされていた.
ISSN:0040-9022