免疫抑制点眼薬使用中に発症した角膜ヘルペス

【緒言】 免疫抑制薬のシクロスポリンとタクロリムスはいずれもT細胞の細胞内伝達系において重要な役割を担うカルシニューリンを阻害し, T細胞の増殖やサイトカイン産生を強力に抑制し, アレルギー炎症を抑える1). 眼科領域においては, 0.1%シクロスポリン点眼薬と0.1%タクロリムス点眼薬が春季カタルの治療薬として認可されており, ステロイド点眼薬と同等またはそれ以上の効果が期待できる2). 春季カタルやアトピー性角結膜炎などの重症アレルギー性結膜疾患の治療には, 抗アレルギー点眼薬, ステロイド点眼薬に加え, 免疫抑制点眼薬が用いられるようになった1)~3). 0.1%シクロスポリン点眼薬は,...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2012, Vol.82 (suppl), p.244-248
Hauptverfasser: 能谷紘子, 高村悦子, 三宮瞳, 田尻晶子, 木全奈都子, 篠崎和美, 堀貞夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】 免疫抑制薬のシクロスポリンとタクロリムスはいずれもT細胞の細胞内伝達系において重要な役割を担うカルシニューリンを阻害し, T細胞の増殖やサイトカイン産生を強力に抑制し, アレルギー炎症を抑える1). 眼科領域においては, 0.1%シクロスポリン点眼薬と0.1%タクロリムス点眼薬が春季カタルの治療薬として認可されており, ステロイド点眼薬と同等またはそれ以上の効果が期待できる2). 春季カタルやアトピー性角結膜炎などの重症アレルギー性結膜疾患の治療には, 抗アレルギー点眼薬, ステロイド点眼薬に加え, 免疫抑制点眼薬が用いられるようになった1)~3). 0.1%シクロスポリン点眼薬は, 効果の発現は緩徐だが重篤な角結膜所見の改善が期待でき, また0.1%タクロリムス点眼薬は高濃度ステロイド点眼薬と同等の効果を有する1). 一方, 免疫抑制点眼薬使用中には, 宿主の感染防御機構, なかでもT細胞に対する抑制作用が起こるため, 細胞性免疫が抑制され, ウイルス感染症に対する感染防御機構が低下する可能性があると考えられている4).
ISSN:0040-9022