(11)遺伝子医療

【はじめに】 ゲノム研究の進歩により, 診療の現場において確定診断としての遺伝子検査がなされるようになった. 大量のDNA断片の並列シークエンスによる革新的な遺伝子解析技術である次世代シークエンサーの開発により個人ゲノム解析が格段にハイスループット化され, 臨床応用される時代となりつつある1). 従来の臨床検査, さらに遺伝子検査でも診断が困難であった症例で確定診断がつく可能性も高くなってきている. そのような背景において, 発症リスクを有する人々における発症前診断, 保因者診断, さらに出生前診断も可能な時代となった. 遺伝子情報は個人と血縁者で共通性があり診断結果が血縁者に影響を及ぼす場合...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2011, Vol.81 (5), p.349-355
Hauptverfasser: 斎藤加代子, 松尾真理, 菅野仁, 浦野真理, 相楽有規子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】 ゲノム研究の進歩により, 診療の現場において確定診断としての遺伝子検査がなされるようになった. 大量のDNA断片の並列シークエンスによる革新的な遺伝子解析技術である次世代シークエンサーの開発により個人ゲノム解析が格段にハイスループット化され, 臨床応用される時代となりつつある1). 従来の臨床検査, さらに遺伝子検査でも診断が困難であった症例で確定診断がつく可能性も高くなってきている. そのような背景において, 発症リスクを有する人々における発症前診断, 保因者診断, さらに出生前診断も可能な時代となった. 遺伝子情報は個人と血縁者で共通性があり診断結果が血縁者に影響を及ぼす場合がある. 遺伝子情報漏洩の危険性, 遺伝的差別への危惧など倫理的法的社会的問題が生じる可能性もある. 診療においては, 遺伝カウンセリング実施体制の構築と遺伝子情報の管理が重要である. また, わが国の医療事情や倫理的問題に対処でき, オーダーメイド医療にも対応できる人材の育成が求められている.
ISSN:0040-9022