1. インターフェロンでバセドウ病を発症したC型肝炎

インターフェロン(IFN)は自己免疫甲状腺疾患(AIT)を誘発することが知られている. 慢性C型肝炎に対するIFN治療後にバセドウ(G)病を発症し, チアマゾールで肝障害が発症した症例を経験した. 62歳女性, 甲状腺疾患の家族歴はない. 51歳時にHCV抗体が陽性, 56歳時より血小板減少(5~8万/μl)があった. 61歳時にIFNα治療を行うが間質性肺炎の疑いで3ヵ月目に中止した. IFN治療中の甲状腺機能は正常であったが, 中止2ヵ月後に心不全症状が出現し, 遊離型甲状腺ホルモンはfT3 20.16pg/ml, fT4 5.98ng/dlと高値でTSHは抑制されていた. TRAbおよび...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2008, Vol.78 (1), p.73-73
Hauptverfasser: 大久保梨紗, 大和田里奈, 田中聡, 磯崎収, 鳥居信之, 高野加寿恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:インターフェロン(IFN)は自己免疫甲状腺疾患(AIT)を誘発することが知られている. 慢性C型肝炎に対するIFN治療後にバセドウ(G)病を発症し, チアマゾールで肝障害が発症した症例を経験した. 62歳女性, 甲状腺疾患の家族歴はない. 51歳時にHCV抗体が陽性, 56歳時より血小板減少(5~8万/μl)があった. 61歳時にIFNα治療を行うが間質性肺炎の疑いで3ヵ月目に中止した. IFN治療中の甲状腺機能は正常であったが, 中止2ヵ月後に心不全症状が出現し, 遊離型甲状腺ホルモンはfT3 20.16pg/ml, fT4 5.98ng/dlと高値でTSHは抑制されていた. TRAbおよびTSAb陽性, 超音波検査で血流増加ありG病と診断した. MMI15mg開始後2ヵ月でAST164IU/リットル, ALT268IU/リットルと肝機能障害が出現した. PTUへ変更し肝障害は改善したがG病のコントロールが不良となり, 5ヵ月後に131I内用療法(10mCi)を行った. 放射線治療後に, 甲状腺ホルモンは低下傾向を示した. C型肝炎では自己抗体陽性率がB型と比べて有意に高く, 潜在性のAITがIFNにより顕性化するとの説がある. 本症例でも比較的早期に発症したことよりその可能性が示唆された.
ISSN:0040-9022