急性大動脈解離,手術後の腰下肢しびれに対しパロキセチンが奏効した1例

「緒言」急性大動脈解離(Stanford A)や胸腹部大動脈瘤などの大血管術後にはしばしば脊髄対麻痺や下肢の疼痛, しびれが併発することがある. 手術後の経過が良好でも, このような病状をもつ患者の精神的苦痛は大きいと考えられる. その症状に対し, 鎮痛薬や硬膜外麻酔を試みるが, 症状の改善は困難であることが少なくない, 近年, 慢性疼痛に対し, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるパロキセチンの有効性が報告されている. 今回, 我々は, 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)や硬膜外麻酔で対処しきれず治療に難渋した症例にパロキセチンを使用し, 著明な効果が得られたので報告する.「...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2007-05, Vol.77 (5), p.267-269
Hauptverfasser: 河野康治, 天野宏, 河合靖
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」急性大動脈解離(Stanford A)や胸腹部大動脈瘤などの大血管術後にはしばしば脊髄対麻痺や下肢の疼痛, しびれが併発することがある. 手術後の経過が良好でも, このような病状をもつ患者の精神的苦痛は大きいと考えられる. その症状に対し, 鎮痛薬や硬膜外麻酔を試みるが, 症状の改善は困難であることが少なくない, 近年, 慢性疼痛に対し, 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であるパロキセチンの有効性が報告されている. 今回, 我々は, 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)や硬膜外麻酔で対処しきれず治療に難渋した症例にパロキセチンを使用し, 著明な効果が得られたので報告する.「症例」患者:59歳, 男性. 主訴:胸背部痛. 家族歴:特記事項はない. 既往歴:高血圧. 現病歴:平成18年3月24日早朝, 突然の胸背部痛が出現したため救急車で西新井病院に来院となった. 入院時現症:身長165cm, 体重65kg, 貧血黄疸は認めず腹部所見には明らかな異常は認めなかった. 入院時検査所見:血算, 生化学検査, 心電図には異常は認めなかった. 超音波検査所見では上行大動脈径は54mmでflapを認めた. 大動脈弁逆流はなく心機能も良好であった.
ISSN:0040-9022