生活習慣の脂質検査値に及ぼす影響
〔目的〕生活習慣病の発症には個人のライフスタイルが大きく影響するが, 疾病の発症を防ぐには生活習慣を見直し, 健康を増進して疾病の発症を予防する一次予防が重要である. そこで, 事務系事業所に勤務する労働者の運動, 飲酒, 喫煙, 食生活などの生活習慣が血清脂質値とbody mass index(BMI)に及ぼす影響について分析, 検討することにより, 生活習慣の改善に資する知見を得ることを目的とした. 〔対象および方法〕1993年から1997年にかけて, 事務系事業所に勤務する35, 40, 45, 50, 55歳の者を対象に総計2745人について, 質問票調査および採血を実施した. 生活習...
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Veröffentlicht in: | 東京女子医科大学雑誌 2002-08, Vol.72 (7/8), p.414-414 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕生活習慣病の発症には個人のライフスタイルが大きく影響するが, 疾病の発症を防ぐには生活習慣を見直し, 健康を増進して疾病の発症を予防する一次予防が重要である. そこで, 事務系事業所に勤務する労働者の運動, 飲酒, 喫煙, 食生活などの生活習慣が血清脂質値とbody mass index(BMI)に及ぼす影響について分析, 検討することにより, 生活習慣の改善に資する知見を得ることを目的とした. 〔対象および方法〕1993年から1997年にかけて, 事務系事業所に勤務する35, 40, 45, 50, 55歳の者を対象に総計2745人について, 質問票調査および採血を実施した. 生活習慣に関する質問項目として, 運動, 飲酒, 喫煙および食習慣の状況について自記式で回答してもらった. 血清脂質はオートアナライザー(CIBA-CORNING社製550EXPRESS, USA)で総コレステロール(TC), トリグリセライド(TG), high density lipoproteinコレステロール(HDLC)を測定した. [結果]血清脂質値およびBMIの年齢の影響をみるため分散分析を行った結果では, 男女ともTC, TGおよびHDLCにおいて年齢階級間で有意差が認められた. 生活習慣では運動しない若年層が目立ち, 食習慣では卵類, 魚介類, 大豆製品, 野菜類, 海草類を毎日摂取する傾向が高年層にみられた. BMIおよび脂質値に, どの生活習慣が最も影響を及ぼしているのか, ロジスティック回帰分析を行った結果, BMIに影響する因子は, 男性では食生活(めん類), TCでは男性は年齢, 食生活(卵, 大豆), 女性は年齢, HDLCでは男性は喫煙, TGでは男性は運動と食生活(パン, めん類), 女性は喫煙の影響が強くみられた. [考察]運動習慣では男性若年層が低く, 体重増加と高脂質を示す一因となる可能性がある. 50歳男性の64%に喫煙習慣があり, 喫煙による健康影響が, 今後拡大することが予想される. 若年層の好ましくない食生活習慣に比べ, 高齢層では男女とも健康に対する関心と健康食志向が認められた. 40歳男性の急激なTG上昇は, 運動習慣, パンやめん類との関連が示されたことから, TCばかりでなくTGの上昇をもたらす生活習慣の改善にも注意を払う必要がある. [結論]今後も増加が予想される生活習慣病の発症には, ライフスタイルのあり方が大きく影響している. 結果からBMIと脂質値には, 生活習慣の中で特に食生活, 次いで喫煙習慣の影響が認められたが, 生活習慣の変容達成には個人の主体的な取組と同時に医療, 保健関係者の支援が重要である. |
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ISSN: | 0040-9022 |