タイムラプスシネマトグラフィーを用いたヒト卵細胞質内の動的解析

要旨 : 我々は, 連続観察可能な体外培養装置を独自に構築し, これを用いてヒト初期胚発生過程の動的解析を続けてきた. 今回は, 未受精卵子および前核期胚における卵細胞質内の形態学的所見に着目した. 未受精卵子の形態学的所見を空胞, 顆粒状物質, 異常形態の有無に大別し, 胚の予後および胚発育速度を比較した. また, 前核期胚に出現する細胞質内空胞様所見の挙動とその後の胚発育との関連を検討した. 未受精卵子の受精率は, 形態異常所見, 特に顆粒状物質を認める卵子で有意に低率で, syngamy以降の胚発育速度の遅延や良好胚率の低下があきらかとなった. 前核期において卵細胞質辺縁より出現する空胞...

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Veröffentlicht in:Journal of Mammalian Ova Research 2015-10, Vol.32 (4), p.143-148
Hauptverfasser: 岩田京子, 湯本啓太郎, 山内至朗, 井庭裕美子, 見尾保幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:要旨 : 我々は, 連続観察可能な体外培養装置を独自に構築し, これを用いてヒト初期胚発生過程の動的解析を続けてきた. 今回は, 未受精卵子および前核期胚における卵細胞質内の形態学的所見に着目した. 未受精卵子の形態学的所見を空胞, 顆粒状物質, 異常形態の有無に大別し, 胚の予後および胚発育速度を比較した. また, 前核期胚に出現する細胞質内空胞様所見の挙動とその後の胚発育との関連を検討した. 未受精卵子の受精率は, 形態異常所見, 特に顆粒状物質を認める卵子で有意に低率で, syngamy以降の胚発育速度の遅延や良好胚率の低下があきらかとなった. 前核期において卵細胞質辺縁より出現する空胞様所見は, 卵割後も割球内に認められた. また, 空胞様所見を呈する胚の多核割球出現率は有意に高率であった. 未受精卵子での形態評価, および前核期の空胞様所見はその後の胚発生に影響すると考えられた.
ISSN:1341-7738