脂肪組織による老化・寿命制御

「1. カロリー制限による有益な効果」2016年, WHOは, 肥満人口が6.5億人に到達したことを報告しており, これは1975年時点の3倍にも及ぶ. 肥満は, 2型糖尿病, 動脈硬化, 心疾患やがんなどの老化関連疾患を引き起こすことから, 現代社会において深刻な健康問題となっている. また, 老化は不可逆的で進行性の形態学的及び機能的劣化を伴う現象であり, 老化関連疾患の予防並びに健康寿命の延伸には老化メカニズムの理解が必要である. 1935年にMcCayらは, 長期間総エネルギー摂取量を60-70%程度に制限するカロリー制限 (caloric restriction : CR) により,...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2024/04/01, Vol.144(4), pp.411-417
Hauptverfasser: 福王, 智康, 野崎, 優香, 水之江, 雄平, 樋上, 賀一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. カロリー制限による有益な効果」2016年, WHOは, 肥満人口が6.5億人に到達したことを報告しており, これは1975年時点の3倍にも及ぶ. 肥満は, 2型糖尿病, 動脈硬化, 心疾患やがんなどの老化関連疾患を引き起こすことから, 現代社会において深刻な健康問題となっている. また, 老化は不可逆的で進行性の形態学的及び機能的劣化を伴う現象であり, 老化関連疾患の予防並びに健康寿命の延伸には老化メカニズムの理解が必要である. 1935年にMcCayらは, 長期間総エネルギー摂取量を60-70%程度に制限するカロリー制限 (caloric restriction : CR) により, ラットの平均及び最大寿命が延伸することを報告した. その後, げっ歯類を用いた研究により, CRが全身の代謝を改善し, 老化に伴う病態生理学的な変化を抑制し, 寿命を延伸することが示された. また, このようなCRの有益な効果は酵母や線虫, そしてげっ歯類を含む哺乳類など様々な生物種で確認されている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00165-4