難治性疼痛に対する新規治療薬の開発を目指した創薬研究

「1. はじめに」われわれに備わっている「痛み」という感覚(痛覚)は, 生体警告系として機能する重要な感覚である. 一方で, 持続する痛みは生活の質(QOL)を著しく低下させるだけでなく, うつ症状や認知機能障害などを発症させることも報告されている. したがって, その警告系としての役割を逸脱して持続する痛みは, 積極的に取り除く必要がある. しかしながら, 現在, 臨床現場において使用される鎮痛薬(麻薬性鎮痛薬, 非ステロイド性抗炎症薬, ガバペンチノイド類など)では奏効しない難治性の疼痛病態が存在する. それに加えて, 近年の米国では, 依存性が高い麻薬性鎮痛薬の使用・乱用が深刻な社会問題...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2024/01/01, Vol.144(1), pp.15-18
1. Verfasser: 中村, 庸輝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」われわれに備わっている「痛み」という感覚(痛覚)は, 生体警告系として機能する重要な感覚である. 一方で, 持続する痛みは生活の質(QOL)を著しく低下させるだけでなく, うつ症状や認知機能障害などを発症させることも報告されている. したがって, その警告系としての役割を逸脱して持続する痛みは, 積極的に取り除く必要がある. しかしながら, 現在, 臨床現場において使用される鎮痛薬(麻薬性鎮痛薬, 非ステロイド性抗炎症薬, ガバペンチノイド類など)では奏効しない難治性の疼痛病態が存在する. それに加えて, 近年の米国では, 依存性が高い麻薬性鎮痛薬の使用・乱用が深刻な社会問題(オピオイドクライシス)となっており, 全米安全評議会の報告によると, 生涯のうち麻薬性鎮痛薬の過量投与で死亡する確率が, 交通事故によるものを上回っている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00133