網膜の病的血管新生に対する抗VEGF薬治療の展望と課題

「1. はじめに」血管新生は, 既存の脈管構造から新しい血管が出芽し, 新たな血管網を構築する現象を指し, 生体にとって必要不可欠な"生理的血管新生"と各種病態の発症及び進展に係わる"病的血管新生"に分けて考察する必要がある." 生理的血管新生"は, 創傷治癒, 胚の発生, 子宮内膜の発育や黄体形成, 各種虚血性疾患において誘導されるなど, 組織の形成と恒常性維持に重要な役割を担っている. 一方, "病的血管新生"が係わる疾患には, 固形腫瘍, 関節リウマチ, 乾癬, 粥状動脈硬化などがある. 1971年にFolk...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2021/12/01, Vol.141(12), pp.1307-1317
Hauptverfasser: 中村, 信介, 原, 英彰
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」血管新生は, 既存の脈管構造から新しい血管が出芽し, 新たな血管網を構築する現象を指し, 生体にとって必要不可欠な"生理的血管新生"と各種病態の発症及び進展に係わる"病的血管新生"に分けて考察する必要がある." 生理的血管新生"は, 創傷治癒, 胚の発生, 子宮内膜の発育や黄体形成, 各種虚血性疾患において誘導されるなど, 組織の形成と恒常性維持に重要な役割を担っている. 一方, "病的血管新生"が係わる疾患には, 固形腫瘍, 関節リウマチ, 乾癬, 粥状動脈硬化などがある. 1971年にFolkmanは, 腫瘍の成長が酸素や栄養を運ぶ血管に依存することを突き止め, 血管新生の抑制ががんを制御し得るという考え方を提唱し, 血管新生の研究を大きく飛躍させた. がん細胞は自ら血管新生因子を放出し血管新生を促すことによって, がん自体が増殖するための栄養を得ているとしたFolkmanの仮説が起点となり, Ferrara and Henzelの血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)の発見につながった.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.21-00158-1