脳内幹細胞・前駆細胞のイメージング及び操作技術が解き明かす脳組織の新しい機能維持機構

「はじめに」 中枢神経では海馬歯状回や側脳室周囲において, 一生にわたって神経新生が継続している. また, こうした神経新生領域以外でも, グリア系前駆細胞が恒常的な細胞新生に与っており, 細胞を供給し続けている. われわれは, こうした神経新生をげっ歯類を用いて非侵襲的にイメージングする技術を開発してきた. 例えば, 海馬歯状回や側脳室周囲における細胞増殖活性を陽電子放射断層撮影法(positron emission tomography; PET)を用いてイメージングすることに成功し, 神経新生能が抑うつ状態などに反応することを可視化した. 一方, グリア系前駆細胞については, イメージン...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2021/03/01, Vol.141(3), pp.343-348
1. Verfasser: 片岡, 洋祐
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 中枢神経では海馬歯状回や側脳室周囲において, 一生にわたって神経新生が継続している. また, こうした神経新生領域以外でも, グリア系前駆細胞が恒常的な細胞新生に与っており, 細胞を供給し続けている. われわれは, こうした神経新生をげっ歯類を用いて非侵襲的にイメージングする技術を開発してきた. 例えば, 海馬歯状回や側脳室周囲における細胞増殖活性を陽電子放射断層撮影法(positron emission tomography; PET)を用いてイメージングすることに成功し, 神経新生能が抑うつ状態などに反応することを可視化した. 一方, グリア系前駆細胞については, イメージング技術のみならず, 細胞特異的に生体から除去できる操作技術を確立し, その新しい生理機能について研究を行ってきた. 特に, グリア系前駆細胞の多くがニューロン細胞体に密着して存在することから, われわれは, 前駆細胞が単に細胞供給に与るだけでなく, ニューロンに対する機能調節や機能保全を担当する, いわばナーシング細胞としての役割を担っているとの仮説を提唱してきた.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00198-2