摂食リズムによるエネルギー代謝と高次脳機能の変容

「はじめに」 生体における大半の組織には分子時計が存在しており, これらが摂食行動や睡眠・覚醒リズム, ホルモン分泌などの多くの生理学的事象の周期性を左右する. 中でも, 末梢組織における分子時計の発現位相は生体のエネルギー代謝に関連し, これらは摂食リズムに大きく影響を受ける. しかし最近では, 末梢のリズムが中枢へ影響を与える可能性が指摘されてきた. 本稿では, 生体リズムについて概説した後, 摂食リズムにより変化した末梢組織における時計遺伝子が中枢を介した睡眠-覚醒調節及びエネルギー代謝調節に影響を与える可能性について言及する. 「1. 概日リズム(サーカディアンリズム)とは」 地球上に...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018/10/01, Vol.138(10), pp.1297-1304
Hauptverfasser: 大塚, 愛理, 志内, 哲也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:「はじめに」 生体における大半の組織には分子時計が存在しており, これらが摂食行動や睡眠・覚醒リズム, ホルモン分泌などの多くの生理学的事象の周期性を左右する. 中でも, 末梢組織における分子時計の発現位相は生体のエネルギー代謝に関連し, これらは摂食リズムに大きく影響を受ける. しかし最近では, 末梢のリズムが中枢へ影響を与える可能性が指摘されてきた. 本稿では, 生体リズムについて概説した後, 摂食リズムにより変化した末梢組織における時計遺伝子が中枢を介した睡眠-覚醒調節及びエネルギー代謝調節に影響を与える可能性について言及する. 「1. 概日リズム(サーカディアンリズム)とは」 地球上に存在するほとんどの生物は, その体内に時計の軸を持っている. 時計が存在しない空間においても, 定期的に空腹を感じたり, 眠くなったりするのは, 体内に存在する生物時計が正確に時を刻んでいるからである.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.18-00091-7