栄養素センシングと神経ペプチドを介した摂食抑制

「1. はじめに」 肥満は, 糖尿病, 脂質異常症, 高血圧, 動脈硬化などの生活習慣病の成因に深く関与した最大のリスクと考えられており, 肥満をコントロールすることは生活習慣病対策のうえで重要である. 日本及び世界中の先進国で肥満者が増加し, 世界で過体重及び肥満の人の数は, 1980年が8億8500万人であったのに対し, 2013年には2.5倍の21億人にまで増加したことが報告され大きな問題となっている. 増加する肥満や生活習慣病を予防するには, その基礎となる摂食及びエネルギー代謝調節系の解明が重要である. 摂食行動は, 消化管などの末梢臓器からの神経情報や, 血液中のグルコース, イン...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018/08/01, Vol.138(8), pp.1017-1024
1. Verfasser: 上田, 陽一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 肥満は, 糖尿病, 脂質異常症, 高血圧, 動脈硬化などの生活習慣病の成因に深く関与した最大のリスクと考えられており, 肥満をコントロールすることは生活習慣病対策のうえで重要である. 日本及び世界中の先進国で肥満者が増加し, 世界で過体重及び肥満の人の数は, 1980年が8億8500万人であったのに対し, 2013年には2.5倍の21億人にまで増加したことが報告され大きな問題となっている. 増加する肥満や生活習慣病を予防するには, その基礎となる摂食及びエネルギー代謝調節系の解明が重要である. 摂食行動は, 消化管などの末梢臓器からの神経情報や, 血液中のグルコース, インスリンなどの化学的シグナルなどが脳内の特に視床下部に存在するエネルギー依存型摂食調節系を中心として統合され, 摂食を調節している. この視床下部領域には多くの食欲に関係する神経ペプチドが存在し, 互いにニューロンネットワークを形成し, 栄養素センシングとその恒常性維持に大切な役割を果たしている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00048-3